Signal
📡 Signal|SEC、偽の届出で1.3億ドルを集めた BG Wealth など2社を提訴
SEC は10月29日、月60%の運用益をうたい1億3,000万ドル超を集めた BG Wealth Sharing と DSJ Exchange を提訴した。自ら出した Form ADV と Form D を「SEC の認可」の証拠として投資家に見せていた。

米証券取引委員会 (SEC) は10月29日、暗号資産の運用をうたって1億3,000万ドルを超える資金を集めた BG Wealth Sharing と DSJ Exchange の2社を、カリフォルニア北部地区の連邦地裁に詐欺で提訴した。2社は SEC の公開の届出システムに虚偽の書類を出し、それを「SEC の認可を受けた証拠」として投資家に見せていた。
SEC プレスリリース 2026-110 (2026年10月29日・2社の提訴)U.S. Securities and Exchange Commission
詐欺の道具になったのは、SEC そのものの名前と、誰でも閲覧できる届出の画面だった。届け出が載っていることと、規制当局が審査して認めたことは別の話で、その差が、米国内外の数万人の個人投資家の判断を左右した。初期報は10月30日朝の 速報 で伝えた。
月60%、元本は40日で倍という約束
訴状によると、2社が資金を集めたのは少なくとも2025年10月から2026年6月まで。BG Wealth は自らを「世界最大のヘッジファンド」で「SEC の認可を受けた投資顧問」だと名乗り、月に最低60%の運用益、元本は40日で倍、リスクはゼロと宣伝した。根拠として持ち出したのは、「教授」とされる創業者 Stephen Beard が開発したという、的中率99.6%の売買シグナルだった。
投資家は DSJ Exchange の口座に USDC、USDT、ETH を入れ、1日2回配られるシグナルを画面に写すと利益が表示される仕組みだった。訴状は、預かった資産が宣伝どおりの売買に使われた事実はなく、画面上の利益は架空だったとしている。2026年3月から6月初めまでだけで、22万3,000を超えるブロックチェーンのアドレスから1億3,000万ドル超が入り、大半は流用された。一部の投資家に戻された分は最大2,500万ドルで、SEC はこれを新しい資金で古い投資家に払う「ポンジ型」の支払いとみている。投資家の損失は1億ドルを超える。
勧誘は多段の紹介制度で広がった。米国内の勧誘役、SNS や暗号化メッセージ、毎週のオンライン会議、米国の大都市での説明会。新しい投資家を連れてきた人には、追加のシグナルや報酬が与えられた。
届出の画面が「認可の証拠」に変わった
SEC が問題にしたのは、2社が SEC の届出制度を使った手口だ。
- BG Wealth は2025年8月16日、「届出免除の投資顧問 (exempt reporting adviser)」として Form ADV を SEC に出した
- DSJ Exchange は2025年7月11日、1億ドルの私募の募集を知らせる Form D を出し、売上が1億ドルを超えるとも書いた
どちらも当事者が自分で出す届け出で、SEC が中身を審査して登録や認可を与える手続きではない。それでも書類は SEC のサイトで誰でも見られる状態になり、2社はその画面を「SEC の認可」の証拠として投資家に配った。SEC の印章をつけた偽の認可証も見せていた。SEC は2社の Form ADV と Form D をすでにサイトから削除している。
SEC の執行部門でサイバー・新技術を担当する部署を率いる Laura D'Allaird は、2社が「SEC の印章をつけた偽の証明書を見せることで、だましを続けた」と述べた。
出金を止め、最後は「税金」を要求
訴状は崩れ方も記している。2社は出金を認めて信用を演出しつつ、最大20%の手数料と数日の遅れで引き出しを抑えた。2026年4月に当局が BG Wealth の主要なサイトを差し押さえると、BG Wealth は「中国からのハッキング」のせいだと説明した。DSJ Exchange はやがて出金を完全に止め、資金を引き出したい投資家に追加の「税金」の支払いと、「HQI Exchange」という新しい取引所への移行のための入金を求めた。払った投資家も、資金を取り戻せていない。
2社はコロラド州で設立された米国の法人だが、SEC は実際の運営は国外の個人が担っていたとみる。BG Wealth の本社は仮想の私書箱、DSJ Exchange の本社は短期貸しの事務所だった。
SEC は2社に永久的な差し止め、不当に得た利益の返還、民事制裁金を求めている。発表は、アルバータ州証券委員会とハワイ、テキサス、ユタ、ワシントン、ウィスコンシンの各州の証券当局の協力に謝意を示した。
次に見るもの
- カリフォルニア北部地区の連邦地裁の訴訟記録 — 2社が応じるか、欠席のまま判決に進むか。運営者が国外にいる以上、返還命令が出ても回収の範囲は限られる
- SEC の投資家向けサイト Investor.gov — 投資を持ちかけた相手が本当に登録しているかは、ここの検索で確かめられる。SEC の投資家教育の部署は、届出免除の投資顧問の届け出を悪用する手口と、SEC 登録の偽りの主張について注意喚起を出している
ことば
- Form ADV — 投資顧問が SEC に出す届け出。「届出免除の投資顧問」は登録を免除されたうえで最低限の情報を届ける区分で、SEC が業者の中身を保証するものではない。
- Form D — 私募で証券を売る会社が、募集を始めたあとに SEC に出す通知。SEC は内容を審査せず、出されたことが募集の適法さを示すわけでもない。
- ポンジ・スキーム — 運用益をうたいながら、実際には後から入った投資家の資金を先の投資家への支払いに回す詐欺。新しい資金が止まった時点で崩れる。
🔗 一次ソース