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📡 Signal|ベッセント長官のホルムズ「戦前並み」、海峡経由の原油は8割
ベッセント財務長官が「ホルムズの通航はイランの分を除き戦前並み」と投稿。Kpler の集計では海峡経由の原油は 10 月平均で戦前の 7 割、イランを除いて比べても 8 割ほど。戻ったのは迂回路経由の原油だ。

米国のベッセント財務長官は米国時間 10 月 31 日(土)、公式 X に「ホルムズ海峡の通航は、イランの分を除けば紛争前の水準に戻った」と投稿した。財務省の印の入った画像には「Operation Economic Outcast」と題し、海峡を通って輸出された原油を米国側 15 億バレル、イラン 0 バレルと並べている。
同じ日、イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師は、どんな脅しにも「即座に、効果的に、地理的な制約なしに」応じるよう軍に命じた。11 月 3 日の米中間選挙を前に、米国は「原油は流れている」、イランは「反撃する」と、海峡を巡る発信がまた正反対の向きで並んだ。長官の言う「戦前並み」を、海峡を通った原油の量で確かめる。
10 月 30 日の米中央軍とイランの発表の食い違いは 10 月 31 日の Signal で読んだ。
長官の投稿が言ったこと、言わなかったこと
ベッセント長官の投稿は 3 行だった。通航は紛争前の水準に戻った(イランの原油を除く)、世界はイランの原油なしでやっていける、イランは原油の輸出なしではやっていけない。画像の 15 億バレルには期間が書かれていないが、米中央軍のクーパー司令官が 30 日に示した「6 月の護衛の開始以来 15 億バレル超」と同じ数字だ。
長官は 1 週間前の 10 月 23 日にも X で、ペルシャ湾からの原油の輸出は「紛争前の水準を超えた」と書いていた。このときの主語は湾岸全体の輸出で、ホルムズ海峡には触れていない。31 日の投稿は、主語を海峡の通航に置き換えた。
海峡を通った原油は戦前の 7 割
海運データ会社 Kpler の集計を引く CNBC によると、ホルムズ海峡を通った原油の輸出は、戦争の前の 2 月に日量約 1,600 万バレルだった。開戦直後の 3 月には 180 万バレルまで落ち、10 月の平均は日量約 1,110 万バレルまで戻った。戦前の 7 割ほどにあたる。
ただし直近の週(10 月 28 日(水)までの 1 週間)は日量 730 万バレルで、戦前の水準を 4 割以上下回った。10 月に入って船への攻撃は増えており、CBS が引く英国海運貿易オペレーション(UKMTO)の集計では、10 月の攻撃は 30 件をやや超え、9 月の倍になった。
長官の言う「イランの分を除く」で比べ直す。2 月の 1,600 万バレルにはイランの輸出も含まれ、別のデータ会社 Vortexa は 2 月のイランの原油の輸出を日量約 208 万バレルと見積もる。差し引くと、イラン以外の戦前の量はおよそ日量 1,390 万バレルになる。集計の会社が違うため目安にとどまるが、10 月の平均はその 8 割ほど、直近の週は 5 割強だ。イランを除いて数えても、海峡の量は戦前の水準まで戻っていない。
戻ってきたのは、海峡を通らない原油
長官の 23 日の「湾岸の輸出は戦前を超えた」は、別の数字と重なる。Kpler の分析を伝えた The Epoch Times(10 月 1 日)によると、湾岸を出る原油のうちホルムズ海峡を通らない割合は、紛争前の 17% から約 40% に上がった。サウジアラビアは紅海側へのパイプラインで、アラブ首長国連邦はフジャイラ港への管で、海峡を迂回して積み出している。Kpler は「原油は戻ったが、運ぶ仕組みは根本から変わった」と書いた。
湾岸全体で量が戻ったことと、海峡の通航が戻ったことは別の話になる。前者は迂回路の増強で達成できる。後者は、船が海峡を安心して通れるかどうかで決まる。長官の 2 つの投稿は、この 2 つを続けて言った形だ。
原油の値段は、海峡の危険の方に反応している。北海ブレントは 30 日に 1 バレル 117 ドル台をつけ、3 月の戦時の高値に迫った。量が戻っても、運ぶ値段と保険料が下がらなければ、ガソリンや電気の価格に届く費用は下がらない。
次に見るもの
最初の確認先は、11 月 3 日の中間選挙のあとに米中央軍が公式 X で出す発表だ。ルビオ国務長官は 31 日、トランプ大統領は攻撃の再開について「まだ決めていない」と述べている。選挙のあとに作戦が始まれば、海峡の通航の数字は真っ先に動く。
もう 1 つは、Kpler の月次の集計だ。11 月の最初の週の海峡経由の量が、10 月の平均の 1,110 万バレルを保つか、直近の 730 万バレルの側に寄るかで、長官の「戦前並み」と現場の差が開くか縮むかが分かる。
ことば
- ホルムズ海峡 — ペルシャ湾の出口にある幅の狭い海峡で、戦前は湾岸の原油の大半がここを通っていた。2 月末に始まった米国とイランの戦争で、機雷と船への攻撃が続いている。
- Kpler(ケプラー) — 船の位置の信号や衛星の画像などを組み合わせて、原油や燃料の貿易の量を推計する民間のデータ会社。政府の統計より早く、日ごとや週ごとの流れを出す。
- 迂回パイプライン — 海峡を通らずに、紅海やオマーン湾の港へ原油を送る管。サウジアラビアの東西パイプラインや、アラブ首長国連邦のフジャイラ港への管がある。
🔗 一次ソース
- ベッセント財務長官の公式 X の投稿(2026年10月31日・通航は紛争前の水準にイランの分を除いて回復・15 億バレル対 0 バレルの画像)
CNBC(2026年10月30日・Kpler の集計による海峡経由の原油の輸出 2 月 1,600 万・3 月 180 万・10 月平均 1,110 万・直近週 730 万バレル)CNBCThe Tribune(2026年10月24日・ベッセント長官の 10 月 23 日の X の投稿「湾岸の輸出は紛争前の水準を超えた」)The Tribune
CBS News のライブ報道(2026年10月31日・最高指導者の声明・UKMTO の攻撃件数・ルビオ長官の発言)CBS News- Vortexa「Iran Crude Situation Report」(2026年3月6日・2 月のイランの原油の輸出 日量約 208 万バレル)marketinfo.vortexa.com
The Epoch Times(2026年10月1日・Kpler の分析による海峡を通らない原油の割合 17% から約 40%)The Epoch Times- Axios の X の投稿(イランの最高指導者が米国の攻撃への「最大限」の対応を命令)
