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📡 Signal|Ethereum、Glamsterdam を延期 壊れる前提は8項目
イーサリアムのコア開発者が Glamsterdam のフォーク手続きを遅らせ、問題の解決まで Hoodi に適用しないと決めた。ガスの再設計が壊す8つの前提を、監査会社と開発者が点検する。

イーサリアム財団のブログは11月6日、コア開発者の会議 (ACD) が次期アップグレード Glamsterdam のハードフォークの手続きを遅らせ、問題が解決するまでテストネット Hoodi に適用しないと決めたと伝えた。監査会社 ChainSecurity が、EIP-8037 と EIP-8038 のガスの再設計で壊れる前提に依存するプロジェクトを見つけたのが理由だ。
Ethereum Foundation Blog (2026年11月6日) — ACD の決定、Hoodi の見送り、Hegotá の継続、点検の依頼を確認Ethereum Foundation Blog
Hoodi の有効化の延期は 10月23日の記事で伝えたが、当時の告知は「相互作用をさらに調べる」と書くだけだった。今回は理由と点検の方法が公開され、問いの相手がプロトコルの開発者からコントラクトを動かしている全員へ広がった。すでにデプロイされたコードが新しいガスの規則で動きを変えるなら、直せるのはプロトコルの仕様か各プロジェクトの側しかない。
ガスの再設計で何が壊れるか
EIP-8037 と EIP-8038 は、一部の操作のガス料金と、ステート (全ノードが持つデータ) に対するガスの取り方を組み替える。ChainSecurity の10月13日の分析によると、新しいストレージの枠に書き込む費用は、いまの2万2,100ガスから、実行のガス1万2,100と新しいステート向けのガス9万7,920へ変わる。
問題は値段だけではない。ChainSecurity が挙げたのは、外部の呼び出しが失敗した後の処理だ。ガスが足りなければ処理全体が巻き戻る、という前提で組まれたコントラクトでは、変更の後に残ったガスで失敗の処理が最後まで進みうる。攻撃者がわざと少ないガスで呼び出すと、本来はやり直せるはずの操作が恒久的な失敗として記録されかねない。Decrypt によると、同社は13件の実例を見つけ、対象のプロジェクトに非公開で伝えている。
財団が公開した点検の一覧には、8つの前提が並ぶ。
- 呼び出しの失敗は、取引全体の失敗を保証しなくなる
- 固定のガス量では、ストレージやアカウントの作成に足りなくなる
- 呼び出しの最中にガスの残量が増えうるので、前後の差では費用を測れなくなる
- いまの値段を前提にしたガスの予備や、送金に付く少量のガスでは足りなくなる
ここに挙げた4つは8つの一部で、リポジトリによると、これまでの発見の多くは固定のガス量とガスの予備に関わる。
誰が確かめるのか
財団は、Glamsterdam の後に何が壊れるか、仕様の変更で防げるかを調べ、次の会議以降の判断材料にするとしている。監査会社の ChainSecurity と Dedaub に依頼し、内部でも監査を進める。
それでも、財団はイーサリアム上のすべてのプロジェクト、特にチェーンの外のコードまでは確認できないと認めた。そこでコントラクトの開発者と監査人に、自分のプロジェクトが8つの前提に頼っていないかを確かめるよう求め、影響を受けるプロジェクトの連絡先として glamsterdam@ethereum.org を示した。リポジトリには説明と例に加え、AI のコーディング支援に渡せる確認の指示文も入っている。
手を動かす範囲がチェーンの全体に広がるのは、スマートコントラクトの基盤としての宿命でもある。Bitcoin はスクリプトの表現力を絞り、ソフトフォークで規則を足してきた。イーサリアムは料金を定期的に組み替える代わりに、その影響が任意のコントラクトに及ぶ。今回の延期は、その代償の大きさを示している。
日程への影響
Glamsterdam は10月6日にテストネット Sepolia で有効化され、Hoodi は10月26日の予定だった。Decrypt によると、メインネットは当初2026年末を目標にしていた。財団の今回の告知に新しい日程はない。Hoodi に進めない以上、年内のメインネットの有効化は難しくなったと読むのが自然だ。
次のアップグレード Hegotá の作業は影響を受けず、並行して続くと財団は書く。Glamsterdam の遅れが次の予定まで押し下げるかは、Hegotá の日程の議論で見えてくる。
次に見るもの
確認先はコア開発者の会議の次回以降の議事と、イーサリアム財団のブログだ。EIP-8037 と EIP-8038 の仕様を変えるのか、変えずに各プロジェクトの修正に任せるのかが最初の分かれ目になる。もう1つは ChainSecurity が非公開で伝えた13件の扱いで、対象のプロジェクトが修正を公表するかを見る。Hoodi の新しい有効化のエポックが告知されれば、問題に区切りが付いた合図になる。
ことば
- EIP-8037 / EIP-8038 — Glamsterdam に含まれる2つの提案。ステートを作る操作に別のガスの勘定を設け (8037)、ステートへのアクセスの値段を改める (8038)。ガス上限の引き上げの前提となる。
- ハードフォーク — 規則の変更で、すべてのノードの更新が必要になるアップグレード。テストネットで順に試してからメインネットに適用する。
- インバリアント — プログラムが常に成り立つと仮定している条件のこと。財団はガスの変更で崩れる条件を8項目にまとめた。
🔗 一次ソース
Ethereum Foundation Blog (2026年11月6日) — ACD の決定、Hoodi の見送り、Hegotá の継続、点検の依頼を確認Ethereum Foundation BlogGitHub ethereum/glamsterdam-gas-invariants — 8つの前提と確認の手順GitHub
ChainSecurity「Glamsterdam gas」(2026年10月13日) — ガス額の変化と失敗の扱いの仕組みChainSecurity
Decrypt (2026年10月23日) — 13件の実例と当初の日程Decrypt
Ethereum Foundation Blog (2026年10月22日) — Hoodi の有効化の延期Ethereum Foundation Blog