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📡 Signal|イーサリアム財団、Lean Ethereum の完成を L* フォークに設定
イーサリアム財団が Lean Ethereum のフォークごとの工程を公表。L* で完成、耐量子は2029年12月が期限だが、起点の Glamsterdam は延期中。

イーサリアム財団は11月5日、2029年までにイーサリアムの土台を作り直す「Lean Ethereum」について、フォーク (プロトコルの一斉更新) ごとの工程を公式 X で示した。H* を新しい機能を持たない最後のフォークとし、I* で leanVM と新しい形式の取引、J* で新しい形式の検証者の投票とデータ可用性のサンプリング、新しい多項式コミットメント (PCS) を加え、L* で完成させる。
草案の工程表 (strawmap) は、2029年までの完成という目標を掲げていた。今回はその目標を、どのフォークに何を入れるかという順番に落とした。2日前のインド・ムンバイの開発者会議 Devcon 8 では、同じ財団の研究者ジャスティン・ドレイク氏が、量子計算機に耐える仕組みへの移行を「2028年12月までに終えたい」と語っている。初期報は5日の 速報 で伝えた。
4つのフォークの役割
財団の投稿が示した順番は次のとおりだ。H はアルファベット順で Glamsterdam (G) の次にあたり、財団が9月のブログで次々回のフォークとして名前を挙げた Hegotá の位置になる。
- H*: Lean の機能を持たない最後のフォーク
- I*: leanVM と、新しい形式の取引 (lean transactions) を導入
- J*: 検証者の新しい形式の投票 (lean attestations)、データ可用性のサンプリング、新しい多項式コミットメント (PCS) を追加
- L*: Lean Ethereum が完成
J* と L* は、量子計算機への備えの段取りとも重なる。財団のプロトコル部門は9月7日のブログで、実行・合意・データの3つの層すべてを2029年12月までに量子計算機に耐えられるようにするという期限を置いた。J* で、保証を弱めながらも量子計算機が暗号を破る日 (Q デー) を越えて動き続けられる「最低限の耐量子」を入れ、L* で完全な耐量子に到達する。財団は Q デーが早ければ2030年に来る前提で計画を組むとしている。
2028年と2029年、2つの期限
ドレイク氏の「2028年12月」は、財団の公式な期限より1年早い。会議の公式アカウントが伝えた発言は「私たちの希望」という言い方で、工程表を置き換えるものではない。財団は自ら置いた2029年12月の期限について、少なくとも2027年1月までは動かさないものとし、その時点で外部の専門家の助言を受けて量子計算機の進み具合を見直すとしている。
耐量子の議論は、イーサリアムだけのものではない。Bitcoin では、公開鍵がすでにチェーン上に見えている BTC が626万枚あると Glassnode が集計した (公開鍵が見えている BTC)。Tron はテストネットで耐量子署名の Falcon-512 を動かし始めている (Tron の耐量子署名)。主要なチェーンの中で、イーサリアムは移行をフォーク単位の工程表まで落とした側に立った。
足元の Glamsterdam は遅れている
工程の起点になる Glamsterdam は、まだテストネットでの試験の段階にある。財団のブログは11月6日、Glamsterdam に含む EIP-8037 と EIP-8038 (一部の操作と状態の保存にかかるガス代の見直し) について、監査会社 Chainsecurity が、この変更で前提が崩れて脆弱になりうるプロジェクトを見つけたと伝えた。開発者の定例会議 (ACD) はフォークの手続きを遅らせ、問題が解決するまでテストネット Hoodi への適用を見送った。後続の Hegotá の作業は並行して続けるとしている。
2029年という終点は動いていないが、始点が後ろにずれれば、その後の5つのフォークを詰めて出す必要が出てくる。ドレイク氏の2028年という目標は、この間隔をさらに詰めることを前提にしている。
次に見るもの
確認先は、イーサリアム財団のブログと ACD の議事で示される Hoodi へのフォークの日程だ。Glamsterdam の Hoodi 適用がいつ決まるかで、H* 以降のフォークの間隔がどこまで詰まるかが決まる。その先の節目は2027年1月、財団が外部の専門家と2029年12月の期限を見直す時期になる。
ことば
- Lean Ethereum — イーサリアムの合意・実行・データの仕組みを、軽く、検証しやすく、量子計算機に耐える形へ作り直す計画。財団は2029年までの完成を目標に置く。
- 耐量子 (ポスト量子) — 将来の量子計算機でも破られない暗号へ移ること。現在の電子署名は量子計算機で破られるおそれがあり、Q デーより前に入れ替える必要がある。
- データ可用性のサンプリング — 検証者がブロックのデータ全体を受け取らず、一部を無作為に取り出して確かめる方法。少ない負担で、データが本当に公開されているかを確かめられる。
🔗 一次ソース
- イーサリアム財団公式 X の投稿 (2026年11月5日・H*〜L* のフォークごとの工程)
- Devcon 公式 X の投稿 (2026年11月3日・ドレイク氏の「2028年12月までに」の発言)
イーサリアム財団ブログ: EF Protocol: Current and Emerging Priorities (2026年9月7日・2029年12月の耐量子の期限、J* の最低限の耐量子と L* の完全な耐量子、2027年1月の見直し、Q デー2030年の想定を確認)Ethereum Foundation Blog
イーサリアム財団ブログ: Glamsterdam の EIP-8037/8038 と Hoodi の延期 (2026年11月6日)Ethereum Foundation Blog