Weekly Brief
LVM Weekly Brief #5|Fed の 9 月利上げは 5 分 5 分に戻り、円は 1 週間で 4 円近く高くなった
米 8 月雇用統計は 16.2 万人増で Fed の 9 月利上げ確率は 5 割へ戻り、日本の 10 年債は 30 年ぶりの 3% を通過して円は 1 週間で 4 円近い円高に。ビットコイン ETF は 1 月以来の 7.3 億ドル流入、SEC は名義書換代理人規則の 40 年ぶり改定案。マクロ・暗号資産・RWA の今週。
Executive Summary
9 月 4 日の米雇用統計は 16 万 2,000 人増だった。 市場予想は 5 万 3,000 人前後で、3 月以来の大きさになる。失業率は 4.1% で変わらず、6 月と 7 月の数字も小幅に上方修正された。前号の主題だったウォーシュ議長のジャクソンホール講演で 59% まで上がった 9 月利上げの織り込みは、週明け 8 月 31 日に 66% まで伸び、9 月 3 日のウォラー理事の講演で 5 割へ落ち、雇用統計でまた 5 割へ戻った。1 週間で 3 度向きを変え、金曜の CME FedWatch は利上げ 49.4%、据え置き 50.6% で週を終えている。
同じ週に、日本は迷っていない。 新発 10 年国債の利回りは 9 月 1 日に 1996 年 9 月以来となる 3% を上回り、翌 2 日に 3.006% まで上げた。植田総裁は 1 日の G20 後の会見で「9 月を含め毎回の会合でしっかり議論する」と述べ、翌日物金利スワップは 9 月 18 日の利上げをほぼ完全に織り込んだ。ドル円は前週末の 160 円 04 銭から 156 円 22 銭へ、1 週間で約 3 円 80 銭の円高になった。3 日の 30 年債入札は応札倍率 3.79 倍で、買い手が消えたわけではない。ただし募入最低価格 98 円 65 銭は平均 98 円 93 銭を 28 銭下回り、需要は価格を選んで入っていた。
暗号資産とエネルギーは、その 2 つの中央銀行のあいだで振れた。 米国の現物ビットコイン ETF は 9 月 3 日に 7 億 3,090 万ドルの純流入を記録し、1 月 14 日以来の大きさになった。ウォラー講演の当日で、ビットコインは 5 月以来の高値 8 万 2,240 ドルをつけた。翌日の雇用統計で 8 万ドルを割り、日本時間 4 日朝の上昇局面では 24 時間で 5 億 6,690 万ドルのショートが清算されている。原油は 2 日の米軍によるイラン国営タンカー攻撃を受けて WTI が 1 週間で 9% 上げ、ユーロ圏の 8 月インフレ率はエネルギー 14.3% に押されて 3.3% へ跳ねた。
RWA では制度側が動いた。 SEC は 9 月 1 日、名義書換代理人 (トランスファー・エージェント) 規則の 40 年ぶりの全面改定案を公表し、ブロックチェーンを使った記録管理を規則の前提に組み入れた。同じ週に Blackstone の私募クレジットファンド BCRED は、発行済み持分の約 10% にあたる解約請求に対して四半期上限の 5% だけに応じると再び通知している。トークン化の受け皿は広がり、受け皿に入る資産の出口は狭いまま動かなかった。この 2 つの向きが今週の RWA の構図だ。
Macro Lane
雇用は増え、賃金より金利が反応した。 労働統計局 (BLS) の 8 月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比 16 万 2,000 人増。過去 12 か月の平均 3 万 1,000 人を大きく上回り、外食・飲食店と地方政府の教育部門が増加を主導し、情報産業は減った。8 月 28 日に BLS が公表した予備ベンチマーク改定 (前号で扱った 7 万 9,000 人の下方修正) は来年 2 月の年次改定で反映されるため、今回の数字には入っていない。水準は下、勢いは上、という 2 つの事実が並んでいる。
金利は勢いのほうを取った。10 年債利回りは 8 月 28 日の 4.72% から 9 月 4 日に 4.78% へ、2 年債は雇用統計後に 52 週高値を更新した。ドル指数 (DXY) は前週末の 99.68 から 9 月 4 日の 99.16 へ下げ、ウォラー講演の影響が通貨にも及んでいた。
Fed の中で 2 つの声が並んだ。 ウォーシュ議長は 8 月 28 日の講演で、PCE 物価バスケットの 49% が過去 6 か月で年率 3% 超で推移していると述べ、「我々にはやるべき仕事が残っている」と結んだ。ウォラー理事は 9 月 3 日、3 か月年率のコア PCE が 2 月の 4.76% から 7 月時点の 3.05% へ下がっていることを挙げ、「2% 目標に向けた進展が続くのであれば、政策金利を現行水準に据え置くことを支持する用意がある。だが、インフレが強く出れば利上げを検討する」と述べた。同じ講演では「8 月の統計でこの改善が一時的だったと示されれば、9 月 15〜16 日の FOMC で利上げが適切になりうる」とも述べている。据え置き支持は 8 月 CPI (9 月 11 日公表) が減速を裏づける場合の条件付きで、雇用統計はその条件と無関係に利上げ側へ確率を押し戻した。
織り込みの読み方。 CME FedWatch の 9 月会合の利上げ確率は、前号時点の 59%、8 月 31 日 66%、ウォラー講演後 50% 前後、雇用統計後 49.4% と動いた。1 週間で 17 ポイント上下した織り込みは、Fed が 9 月 15〜16 日に何をするかより、その前の 11 日の CPI 1 本にすべてが懸かっていることを意味する。8 月 CPI がコアで前月比 0.2% 以下なら据え置き、0.3% 以上なら利上げ。これが今週の価格に埋め込まれた条件だ。
日本の 3% と 28 銭。 新発 10 年債の利回りは 9 月 1 日に 3% の大台を 1996 年 9 月以来 30 年ぶりに上回り、2 日に 3.006% の高値をつけた。日米の利上げ観測と財政拡張への懸念が重なった売りだった。3 日の 30 年利付国債 (第 91 回・表面利率 年 4.0%) の入札は、応募額 1 兆 7,281 億円に対して募入決定額 4,562 億円、応札倍率にすると 3.79 倍だった。募入最低価格は 98 円 65 銭 (募入最高利回り 4.100%)、募入平均価格は 98 円 93 銭 (平均利回り 4.079%) で、両者の差は 28 銭ひらいている。倍率だけを見れば需要は途切れていないが、下限が平均からこれだけ離れるのは、応札が価格を選んで入ったということでもある。3 日の 10 年債は 2.966% まで戻した (前日比 −4.0bp)。前号までの「超長期債は売り手ばかり」という読みは、今週の入札で全面的に否定されるほどではない。買い手はいる、ただし値段次第だ、というのが 1 回の入札から言えるところまでになる。
円は 4 円近く動いた。 ドル円は 8 月 28 日の 160 円 04 銭から、9 月 4 日の 156 円 22 銭へ。植田総裁の 1 日の発言 (「基調的な物価上昇率は 2% にかなり近づいた」「上振れリスクにより注意を払う」) を受けて、翌日物金利スワップは 9 月 18 日の 25bp 利上げをほぼ完全に織り込んだ。4 日には片山財務相が、ベッセント米財務長官から日本の対応に異論や要求はなかったと述べ、7 月 30 日の日米協調介入以来続く為替面での日米の足並みを確認した。日本株はこの円高を嫌い、日経平均は 9 月 2 日に 1,889 円安 (33 業種すべて下落) となったあと、4 日に 806 円高の 6 万 5,020 円 94 銭。日経平均は週間で下げ、S&P 500 の週間 +0.09% とは逆に動いた。
財政・流動性の定点。 Fed の総資産は 8 月 26 日時点で 6.73 兆ドル (H.4.1)。ピークの 8.97 兆ドルから 27% 縮小した水準に変化はない。ECB と日銀のバランスシート、政府債務の対 GDP 比、マネーサプライの月次系列は今週の更新がない。JGB の超長期ゾーンは 30 年債の入札通過で落ち着き、日米の 10 年金利差は米国が上がり日本が下がったことで前週より広がった。金利差が広がったのに円高が進んだ事実は、今週の円の動きが金利差ではなく日銀の政策変更の織り込みで起きたことを示している。
立法。 米上院の暗号資産市場構造法案 (CLARITY 法) は、スーン院内総務が議事進行動議に対するクロージャー (討論終結) 動議を提出済みで、採決は 9 月 15 日。可決には 60 票が要る。共和党は 53 議席で、ステーブルコインの利回り条項と倫理条項をめぐる民主党との交渉は 8 月の休会中に決着していない。Galaxy Research は年内成立の確率を 10% 前後に引き下げた。ユーロ圏では 8 月の HICP 速報が 3.3% (7 月 2.9%) で、内訳のエネルギーが前年比 14.3%。ECB は 9 月 10 日に 25bp 利上げして預金金利を 2.50% とする見方が市場で 87% 織り込まれている。
Crypto Lane
ETF は 1 日で 7 億ドル、価格は 1 日で 3%。 米国の現物ビットコイン ETF の日次純流入は、8 月 31 日 +2 億 1,670 万ドル、9 月 1 日 -2 億 3,650 万ドル (IBIT から 2 億 120 万ドル流出)、2 日 +1 億 110 万ドル、3 日 +7 億 3,090 万ドル。3 日は BlackRock の IBIT が 4 億 5,400 万ドル、ARK 21Shares の ARKB が 1 億 3,800 万ドル、Fidelity の FBTC が 7,400 万ドルで、VanEck の HODL (-2,000 万ドル) と WisdomTree の BTCW (-500 万ドル) だけが流出した。1 月 14 日以来の最大流入で、ETF の純資産合計は 1,033 億 4,000 万ドルとビットコイン時価総額の 6.3% 前後にあたる。8 月の月間流入は 35 億 2,000 万ドルで、ビットコインは月間で約 25% 上げていた。
価格は前週末の 7 万 8,000 ドル前後から、9 月 1 日に一時 7 万 7,000 ドル割れ、ウォラー講演後の 3 日夜から 4 日早朝にかけて 5 月以来の高値 8 万 2,240 ドル、雇用統計後に 8 万ドル割れ。日本時間 4 日朝の上昇局面では 24 時間で 5 億 6,690 万ドルのショートが清算され、10 万 5,019 人のトレーダーが強制決済された (Coinglass 集計)。ETF の最大流入日と価格の反落が同じ 24 時間に収まったことが今週の特徴で、ETF の買いは Fed の織り込みが下がった日に集中し、上がった日に価格が返した。ビットコインは今週、金利資産として値付けされている。
イーサリアムは 15 営業日の無流出が止まり、翌日に戻した。 現物イーサリアム ETF は 8 月 31 日 +8,768 万ドル (ETHA 5,994 万ドル)、9 月 1 日 +1,095 万ドルで 15 営業日連続の流出なしを記録したあと、2 日に 4,820 万ドルの流出で途切れ、3 日に +1 億 4,139 万ドル (ETHA 7,207 万ドル、FETH 6,511 万ドル) で戻した。1 日の流入を支えたのは BlackRock のステーキング型 ETHB (+1,120 万ドル) で、ステーキング利回りを乗せた商品に資金が寄っている。ETH は前週末 2,443 ドルから 4 日に 2,450〜2,520 ドルで、ビットコインより値幅が小さい。
アルトの動意。 ソラナは 100 ドルの節目を守り、現物 SOL ETF は 11 営業日連続の流入で累計 11 億ドルを超えた。XRP 系 ETF の累計流入は 14 億ドル前後。プライバシー系ではジーキャッシュ (ZEC) が 1,000 ドルを超える場面があった。暗号資産全体の時価総額は 4 日に 2 兆 7,110 億ドル。
カルダノとミッドナイト (今週は動意あり)。 カルダノの憲法委員会 (Constitutional Committee) を更新するガバナンス案は、9 月 1 日のスナップショットで SPO 賛成 51.18% と閾値をわずか 0.18 ポイント上回って通過した。委員 7 席のうち 4 席の任期がエポック 653 の終わり (6 日 21:44 UTC、日本時間 7 日早朝) に切れるため、その直前での更新になる。ミッドナイトの NIGHT トークンは第 3 期の解凍 (thaw) が 9 月 5 日で終わり、6 日から 12 月 4 日まで最終の償還期間に入る。両件の深掘りは SIPO.TOKYO の Weekly Brief に譲る。
RWA Lane
受け皿は広がった。 公開ブロックチェーン上のトークン化 RWA は 8 月末時点で約 380 億ドル (1 年前は約 206 億ドル)。DefiLlama の RWA ダッシュボードはオンチェーン時価総額を 348 億ドル、DeFi で担保として稼働している分を 37 億 9,000 万ドルと示す。トークン化米国債は rwa.xyz の 6 月 10 日時点で 148 億ドル・82 商品で、Circle の USYC が約 30 億ドルと BlackRock の BUIDL (27〜28 億ドル) を上回った状態が続く。Franklin Templeton の BENJI は 7 月時点で 24 億 4,000 万ドル。
規則も広がった。 SEC は 9 月 1 日、登録名義書換代理人の規則と様式を改定する提案を公表した。1970 年代末から 80 年代初頭に制定されて以来、実質的に初めての全面改定になる。提案は「電子的な、およびブロックチェーンに基づく記録管理と、無券面の証券」を踏まえて規則の用語を現代化し、様式 TA-1・TA-2 の設問と記入要領を改める。規則 17ad-12 は資産保全の規定から包括的なリスク管理規則へ組み替えられ、発行体・証券保有者・第三者の資金を分ける銀行口座と、事業継続計画の整備が求められる。登録の効力発生は Form TA-1 の提出から 30 日後が 45 日後になり、提出済みの TA-2 に重要な誤りを見つけた場合は 60 日以内の訂正提出が要る。意見募集は官報掲載から 60 日。公表されたファクトシートに分散台帳固有の報告欄までは書かれていないが、1970 年代末に作られた規則の本文が、ブロックチェーン上の記録管理を前提に書き直される段階に入った。
受け皿に入る資産のほうは、締まったままだ。 Blackstone Private Credit Fund (BCRED・純資産約 772 億ドル) は 9 月 3 日、第 3 四半期に約 43 億ドル (発行済み持分の約 10%) の買い戻し請求を受け、四半期上限の 5% だけに応じると株主に通知した。前四半期と同じ結果で、請求の半分しか通っていない。BCRED は「元利金の回収と新規流入が買い戻しを上回っており、ポートフォリオの大半は想定どおりか上振れ」と説明している。Apollo、Ares、Blue Owl の同種ファンドも今年に入って 5% の上限を適用しており、非上場の私募クレジットは業界全体で出口が四半期 5% に揃った。
トークン化された私募クレジットの意味。 Apollo の ACRED (Securitize 経由) のように、私募クレジットへのトークン化アクセスは既にある。今週の 2 つの事実を重ねると、トークン化は保有の記録と移転を速くするが、原資産の流動性を作らない。BCRED の持分がオンチェーンに載ったとしても、四半期 5% の壁は原資産側の壁であり、トークンの壁ではない。トークン化 RWA の次の争点は、発行や規則ではなく、原資産の解約条件そのものだ。
実装の予定。 DTCC は 5 月 4 日時点で 50 社超を集めたトークン化サービスについて、初回のトークン化取引を 7 月、全面稼働を 10 月と告知している。SEC は 3 月にナスダックのトークン化株式取引を承認済みで、DTC の 3 年間の試験 (Russell 1000 と主要 ETF が対象) と組み合わさる。今週の名義書換代理人規則案は、この稼働に先立って「名簿をどこに置けるか」を規則の側で定義し直す位置にある。
Cross-Lane Signals
1. エネルギーからインフレ、インフレから Fed へという連鎖が、今週は欧州で先に閉じた。 前号まで追ってきた「エネルギーが金利を押し、株の手前で止まる」経路は、今週ユーロ圏で 8 月 HICP 3.3% (エネルギー 14.3%) として数字になり、ECB の 9 月 10 日利上げが 87% 織り込まれた。米国側は 7 月 PCE 3.7% とウォラー理事の 3 か月年率 3.05% が並び、同じ油価上昇を Fed がどう読むかが 11 日の CPI で決まる。WTI は 8 月 28 日の 83.40 ドルから 4 日に 91 ドル台へ 9% 上げ、Brent は 2 日に 95 ドルを超えた。エネルギー価格が次のインフレ指標に入るには 1〜2 か月かかる。9 月 11 日の CPI は 8 月分で、今週の油価は入っていない。ウォラー理事が据え置きの条件に置いた「8 月のインフレ」は、この時差の中にある。
2. Fed の織り込みは ETF の買いを動かし、ETF の買いは価格を守らなかった。 9 月 3 日の 7 億 3,090 万ドルは織り込みが 50% へ落ちた日に入り、翌日の雇用統計で価格だけが返した。ビットコインはこの 1 週間、金利の織り込みと逆相関で動く資産だった。11 日の CPI はビットコインにとっても分岐点で、金曜のショート清算 5 億 6,690 万ドルが示すのは、8 万ドルの上下どちらにもレバレッジが積まれていることだ。
3. 円高は金利差では説明できない。 日米 10 年金利差は米 4.78% 対 日 2.966% の 1.818 ポイントで、前週より広がった。金利差が広がって円が 4 円近く高くなったのは、市場が日銀の 9 月利上げを「起きる前提」で価格にしたからだ。この読みが正しければ、18 日の日銀会合で利上げが決まっても円はそれ以上に動かず、見送られた場合に 160 円方向へ戻る非対称になる。輸出株を多く含む日経平均が S&P 500 と逆に動いたのは、この非対称を先に織り込んだ動きに見える。
4. RWA の規則と私募クレジットの出口は、同じ問いの表裏になった。 SEC の名義書換代理人規則案は、トークン化株式の記録管理を規則の前提に組み入れた。BCRED の 5% 上限は、トークン化しても「いつ売れるか」は変わらないことを示した。トークン化 RWA の成長を測る指標は、これまで発行残高だった。次の指標は、原資産の解約条件が変わるかどうかだ。
Risk Digest
-
Technical (技術・市場構造)。 9 月 4 日の 24 時間で 5 億 6,690 万ドルのショートが清算され、10 万 5,019 人が強制決済された。8 万ドルの上下にレバレッジが積まれた状態で、11 日の CPI と 15〜16 日の FOMC を迎える。ETF 側では 3 日の流入 7 億 3,090 万ドルのうち 4 億 5,400 万ドルが IBIT 1 本で、1 日の流出 2 億 3,650 万ドルも IBIT から 2 億 120 万ドルだった。流入も流出も BlackRock 1 社に集中している。
-
Regulatory (規制・立法)。 CLARITY 法のクロージャー採決は 9 月 15 日で、60 票に対して共和党は 53 議席。否決なら年内の市場構造法案は事実上止まる。SEC の名義書換代理人規則案は意見募集 60 日で、確定まで年をまたぐ。日本では日銀の 9 月 18 日会合の利上げが織り込み済みで、決定内容より会見で語られる利上げの到達点 (市場は 2.5% 近くを想定) が次の変数になる。
-
Market (市場)。 Fed の 9 月は利上げ 49.4%、据え置き 50.6% の五分で週を終え、8 月 CPI (9 月 11 日) 1 本で決まる構図になった。2 年債利回りは 52 週高値圏、10 年債は 4.78%。日本の 10 年債は 3% を上回ったあと 2.966% へ戻したが、30 年債の応札倍率 3.79 倍と 28 銭のテールがどう動くかは、9 月の 20 年債と 40 年債の入札で確かめる必要がある。8 月 28 日の BLS 予備ベンチマーク (7 万 9,000 人の下方修正) は、9 月 4 日の 16 万 2,000 人増に反映されていない。雇用の水準と勢いのどちらを Fed が取るかは決まっていない。
-
Geopolitical (地政学)。 米軍は 9 月 2 日、ホルムズ海峡での IRGC による商船攻撃への報復として、イラン国営タンカー 2 隻を含む約 100 か所を攻撃した。米当局者は「タンカーにはタンカーで」応じる方針をトランプ大統領が承認したと説明している。海峡の通航は 1 日 100 隻超から 5 隻前後へ落ち、湾岸からの原油輸出は戦前の日量 1,700 万バレルから約 900 万バレルへ減った状態が続く。WTI 91 ドル、Brent 95 ドルは、この通航量を前提にした価格だ。
Next Week Preview
1. 9 月 8〜10 日: 米国債入札 (3 年債 8 日、10 年債 9 日、30 年債 10 日)。 2 年債が 52 週高値圏、10 年債 4.78% の水準で需要がどう出るか。3 日の日本の 30 年債で見た「倍率は保つがテールは広い」形が米国にも出るかを、応札倍率と間接入札者の比率で見る。
2. 9 月 10 日: ECB 理事会。 25bp 利上げで預金金利 2.50% が 87% 織り込み。ラガルド総裁が 12 月の追加利上げ (市場は 40% 前後) をどう扱うか。8 月 HICP 3.3% のエネルギー寄与 14.3% を一時的と言うかどうかが判断点になる。
3. 9 月 11 日 (日本時間 21:30): 米 8 月 CPI。 ウォラー理事の据え置き条件そのもの。コア前月比 0.2% 以下なら据え置き、0.3% 以上なら利上げが基本線で、5 割の織り込みはこの 1 本でどちらかへ寄る。ビットコイン ETF の日次フローも同じ日に向きを変えると見る。
4. 9 月 15 日: 上院 CLARITY 法クロージャー採決。 60 票に届くかどうか。届かなければ、トークン化 RWA の規則づくりは SEC の名義書換代理人規則のような執行機関側の提案が主役になる。
5. 9 月 15〜16 日: FOMC。 会合前日に CLARITY の採決、会合 2 日後に日銀 (17〜18 日) が続く。3 つの決定が 4 日間に並ぶ週で、ドル円 156 円 22 銭と 10 年債 4.78% はどちらも決定前の水準として記録しておく。
Watch リスト。 ①日銀 9 月 17〜18 日会合: 利上げそのものは織り込み済みで、到達点 2.5% への言及の有無を見る ②ミッドナイト NIGHT の最終償還期間 (9 月 6 日〜12 月 4 日) と、カルダノ憲法委員会の新任 4 名の着任 (日本時間 9 月 7 日早朝) ③DTCC トークン化サービスの 10 月全面稼働に向けた参加者告知 ④トークン化株式: ナスダックのトークン化フラグ付き注文の稼働時期 (一次情報が揃うまで監視のみ) ⑤BCRED の第 4 四半期の買い戻し請求比率 (12 月初旬通知) と、Apollo・Ares・Blue Owl の同種ファンドの上限 ⑥ビットコイン ETF の週間フロー: 9 月第 1 週は 4 営業日で純流入 8 億 1,220 万ドル (8 月 31 日〜9 月 3 日)。
投資助言ではありません。情報提供・リサーチ目的のみ。
🔗 一次ソース
- BLS「The Employment Situation — August 2026」 https://www.bls.gov/news.release/empsit.nr0.htm
- FRB ウォラー理事 講演 (2026-09-03) https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/waller20260903a.htm
- FRB 2026 年講演一覧 (ウォーシュ議長 ジャクソンホール講演 2026-08-28) https://www.federalreserve.gov/newsevents/2026-speeches.htm
- CME FedWatch https://www.cmegroup.com/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html
- 米財務省 日次イールドカーブ (2026 年 9 月) https://home.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/interest-rates/TextView?type=daily_treasury_yield_curve&field_tdr_date_value_month=202609
- FRB H.4.1 (連銀バランスシート) https://www.federalreserve.gov/releases/h41/current/
- 財務省 30 年利付国債 (第 91 回) 入札結果 (2026-09-03) https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20260903.htm
- 財務省 国債金利情報 https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/index.htm
- 日本経済新聞「長期金利 3%、30 年ぶり高さ」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB010UI0R00C26A9000000/
- 日本経済新聞「日経平均、終値 1889 円安」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL020ROTS6A900C2000000/
- Bloomberg「植田日銀総裁、利上げは 9 月含め毎回の決定会合でしっかり議論」 https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-09-01/TKMXGAT96OTG00
- 日本銀行 公表予定 https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
- 財経新聞「9 月 4 日の NY 為替概況」 https://www.zaikei.co.jp/article/20260905/868742.html
- Eurostat「Euro area annual inflation up to 3.3%」 https://ec.europa.eu/eurostat/en/web/products-euro-indicators/w/2-01092026-ap
- CoinDesk「U.S. Senate opens first stage of crypto Clarity Act voting」 https://www.coindesk.com/policy/2026/08/08/u-s-senate-opens-first-stage-of-crypto-clarity-act-voting-to-give-bill-a-chance-next-month
- Axios「U.S. strikes Iran oil tankers for first time」 https://www.axios.com/2026/09/02/iran-tankers-hormuz-attacks-oil
- Al Jazeera「How a 95 percent drop in Hormuz traffic changed global shipping」 https://www.aljazeera.com/news/2026/8/27/how-a-95-percent-drop-in-hormuz-traffic-changed-global-shipping
- Farside Investors Bitcoin ETF Flow https://farside.co.uk/btc/
- Farside Investors Ethereum ETF Flow https://farside.co.uk/eth/
- The Block「US bitcoin ETFs report the largest inflow day since January」 https://www.theblock.co/news/markets/2026-09-04-us-bitcoin-etfs-largest-inflow-day-since-january-413515
- Bloomberg「Bitcoin Price Drops Under $80,000 as US Jobs Report Boosts Fed Hike Expectations」 https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-09-04/bitcoin-drops-below-80-000-as-hot-jobs-data-spurs-fed-hike-bets
- Coinglass Liquidations https://www.coinglass.com/liquidations
- Cardano 公式 X (憲法委員会 4 席の任期 = エポック 653 末) https://x.com/Cardano/status/2092699378838339982
- Midnight「Guide to the NIGHT token launch and Redemption」 https://midnight.network/blog/guide-to-the-night-token-launch-and-redemption
- SEC「SEC Proposes to Modernize Rules for Registered Transfer Agents」(2026-09-01) https://www.sec.gov/newsroom/press-releases/2026-81-sec-proposes-modernize-rules-registered-transfer-agents
- SEC Fact Sheet (Proposed Transfer Agent Rule Modernization) https://www.sec.gov/files/34-106246-fact-sheet.pdf
- Bloomberg「Blackstone's BCRED Caps Redemptions Again After 10% Seek to Exit」 https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-09-03/blackstone-s-bcred-caps-redemptions-again-after-10-seek-to-exit
- DTCC「DTCC Advances Development of New Tokenization Service」 https://www.dtcc.com/news/2026/may/04/dtcc-advances-development-of-new-tokenization-service
- rwa.xyz Tokenized Treasuries https://app.rwa.xyz/treasuries
- DefiLlama RWA https://defillama.com/rwa
- InvestaX「Q3 2026 Real-World Asset Tokenization Market Report」 https://investax.io/blog/q3-2026-real-world-asset-tokenization-market-report
- SIPO.TOKYO (カルダノ / ミッドナイトの深掘り) https://sipo.tokyo/