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📡 Signal|ホルムズが閉じたあとの迂回路の出口を、フーシがペリム島で押さえた

フーシがバブ・エル・マンデブ海峡の中央にあるペリム島に達した。米エネルギー情報局によれば海峡は最狭部18マイルで、通航は幅2マイルの水路2本に限られる。ホルムズが事実上閉じたあとサウジが頼ってきた紅海経由の出口が、選別的な圧力をかけられる側の手に渡った。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|ホルムズが閉じたあとの迂回路の出口を、フーシがペリム島で押さえた

9月11日、イエメンのフーシがバブ・エル・マンデブ海峡のペリム島(マイユーン島)に達した。イエメン政府の関係者4人がロイターに確認し、地元当局者はユーロニュースに「政府軍が前日に撤退したあと、武装したフーシ戦闘員を乗せた船がマイユーン島に到着した」と述べている。同じ日に本土側の町ドゥバブも取られ、前日にはモカ港とズカル島が落ちていた。

The Bab el-Mandeb Strait is a strategic route for oil and natural gas shipments(米エネルギー情報局・最狭部18マイル、幅2マイルの水路2本、2018年の日量620万バレルを確認)eia.gov

この島の位置が効く。米エネルギー情報局の資料によれば、バブ・エル・マンデブは最も狭いところで18マイル(約29キロ)しかなく、タンカーの通航は入りと出でそれぞれ幅2マイルの水路2本に限られる。ロイターとユーロニュースは、その2本を分けているのがペリム島だと伝えている。海峡を押さえるという言い方は、ここでは比喩ではなく地形の話である。

そして紅海は、いま迂回路のほうだった。

18マイルを二つに割る岩

米エネルギー情報局の集計では、バブ・エル・マンデブとスエズ運河を通る石油は、2023年上半期で海上輸送される石油全体の約12%にあたる。液化天然ガスは世界の取引の約8%が同じ経路を通っていた。2018年の推計では、原油・コンデンセート・石油製品をあわせて日量620万バレルがこの海峡を抜け、ヨーロッパ、米国、アジアへ向かっている。

量の大きさより、代わりがないことのほうが効く。ここを通らない船はアフリカ南端の喜望峰を回る。距離と日数と燃料が増え、往復にかかる時間が延びた分だけ、同じ船腹で運べる量が減る。ユーロニュースは、世界のコンテナ輸送のおよそ3分の1が紅海を通っていると伝えている。

東の出口が閉じたから、西が重くなった

ロイターは、イラン情勢でホルムズ海峡が事実上閉じたあと、世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアが紅海経由の輸送に頼ってきたと報じている。ホルムズは、米エネルギー情報局の集計で2024年に日量2,000万バレル、世界の石油製品消費のおよそ20%が通っていた水路だ。

サウジには、そのホルムズを通らずに積み出すための設備がある。アブカイクの原油処理施設から紅海側のヤンブー港まで原油を送る日量500万バレルの東西パイプラインで、2019年には一時的に700万バレルまで能力が引き上げられた。東の出口が使えないとき、原油は陸を横断して西の岸へ出る。

ただし、ヤンブーで積んだ船がアジアへ向かうなら、通るのはバブ・エル・マンデブである。迂回の終点は、いまフーシが立っている場所のすぐ北にある。

その陸の経路にも、11日に不明な事象が起きた。NBCニュースは、同日の衛星画像でメディナ南方、東西パイプラインの経路に沿って60マイルにわたる煙が確認され、複数の関連施設で高温反応が出ていたと伝えている。原因は判明しておらず、サウジ当局もフーシも説明していない。

「サウジ船を除いて安全」と言った

フーシは、海上航行は「サウジ船を除くすべての企業にとって安全だ」とし、「侵略が止まり、我々の民への封鎖が解かれるまで」サウジ標的への攻撃を続けると表明した(NBCニュース)。

これは全面封鎖の宣言ではない。相手を選べる位置に着いた、という宣言である。海峡を完全に閉じれば利用国すべてを敵に回すが、特定の旗の船だけを止めるなら、圧力をかける先を絞れる。それでも費用は運賃と保険料の形で全船に回るので、選別的であっても市場には効く。

米国は直接の介入を避けている。ロイターによれば、サウジのムハンマド皇太子は10日にトランプ大統領へ二度電話し、フーシへの攻撃を要請したが、大統領はこれを断った。米当局者は、政権として直接の軍事行動をとる意図はないとしている。同じロイターは、イラン革命防衛隊が今回の攻勢に「直接の指導」を与え、資金・武器・上級将校の追加を約束したとも報じた。イエメン政府軍のマジド・アル=ナジリ大佐は、フーシの動きを排除するため兵器と航空機を展開すると述べ、住民に特定の経路を避けるよう呼びかけている。

原油については、報道各社が10日に1バレル100ドルを超え、5月半ば以来の高値圏で週を終える見通しだと伝えている。11日には外交交渉の可能性が伝わって下げた、ともされる。値段が反応しているのは交渉の見通しのほうで、地形が変わったこと自体は、まだ価格に入りきっていない。

次に見るもの

  • スエズ運河庁が公表する通航隻数と運河収入。紅海航路をどれだけの船が選び続けるかは、運賃より先にここへ出る
  • 紅海航路の戦争保険追加料率(war risk premium)。船主が地形の変化をどう値付けしたかが、最も早く数字になる
  • サウジアラムコまたはサウジ当局から、東西パイプラインの稼働状況について説明が出るか
  • ペリム島周辺での実際の航行 — サウジ関係船舶への攻撃が起きるか、フーシが宣言どおり他国船を通すか

海峡はまだ閉じていない。閉じるかどうかを決められる側が、入れ替わった。

ことば

  • バブ・エル・マンデブ海峡 — 紅海とアデン湾をつなぐ南側の出入口。スエズ運河を使うアジア・欧州航路は必ずここを通り、使えない場合はアフリカ南端を回ることになる。
  • ペリム島(マイユーン島) — 海峡のほぼ中央にある火山島。入りと出の水路を物理的に分けており、島を持つ側は両方の水路を同時に見張れる位置に着く。
  • 東西パイプライン — サウジがペルシャ湾岸のアブカイクから紅海側のヤンブーまで原油を送る日量500万バレルの幹線。ホルムズ海峡を通らずに輸出するための経路として使われてきた。

🔗 一次ソース

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