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📡 Signal|Anthropic、売上170億ドルの7〜9月期は営業赤字に
Anthropic の修正版の上場届出書で、7〜9月期の売上は169億5,600万ドルと前年の約12倍。営業損益は割高な短期の計算資源などで5億6,700万ドルの赤字に戻った。

Anthropic は11月2日、米証券取引委員会 (SEC) に上場の届出書の修正版 (S-1/A) を出し、2026年7〜9月期の売上を169億5,600万ドルと記した。前年同期の13億8,200万ドルから1,127%増え、約12倍になった。
一方で、4〜6月期に9億7,400万ドルの黒字だった営業損益は、7〜9月期に5億6,700万ドルの赤字へ戻った。売上が伸びたまま本業が赤字に戻った理由は、届出書が自ら説明している。高い値段で急いで買い足した計算資源と、現金の出ない一時的な費用だ。
初期報の 速報 は売上を「17億ドル」と書いたが、届出書の数字は約170億ドルで、桁を誤っていた。10月26日の最初の届出書は 1〜6月の数字 までで、7〜9月期の売上の欄は空いていた。今回の修正版がその欄を埋めた。
7四半期の売上と営業損益
修正版の四半期の損益表から、2025年以降の売上と営業損益を並べる。
| 四半期 | 売上 | 営業損益 |
|---|---|---|
| 2025年1〜3月 | 3億7,600万ドル | ▲9億3,500万ドル |
| 2025年4〜6月 | 7億8,700万ドル | ▲12億ドル |
| 2025年7〜9月 | 13億8,200万ドル | ▲30億8,900万ドル |
| 2025年10〜12月 | 20億4,000万ドル | ▲28億3,600万ドル |
| 2026年1〜3月 | 47億3,100万ドル | ▲16億6,700万ドル |
| 2026年4〜6月 | 115億5,500万ドル | 9億7,400万ドル |
| 2026年7〜9月 | 169億5,600万ドル | ▲5億6,700万ドル |
売上は7四半期続けて増えた。ただ前の四半期からの伸びは、4〜6月期の約2.4倍に対し、7〜9月期は約1.5倍だった。届出書によると、新しいモデルの値下げや契約上の割引で、7〜9月期の売上は前の四半期より約6億ドル押し下げられた。それでも使われる量の増加がそれを上回った。直近12か月の支払いが10万ドル以上の顧客は、9月末で1万1,900社を超えた。
1〜9月の累計の売上は332億4,200万ドルで、前年同期の25億4,500万ドルの約13倍にあたる。
赤字に戻した2つの費用
7〜9月期の営業赤字について、届出書は主な要因を2つ挙げた。
1つ目は計算資源だ。計算資源とインフラの費用は98億6,300万ドルで、4〜6月期の55億5,800万ドルから約1.8倍になった。このうち50億ドルは短期の契約で確保した計算資源で、届出書は複数年の契約で買う同等の計算資源より「かなり高い」と書いている。売上に対する計算資源の費用の比率は、4〜6月期の48%から58%に上がった。Anthropic は計算資源をふつう12〜18か月前に予約するため、需要の伸びが予約を上回った分を、割高な短期の契約で埋めたことになる。
2つ目は、寄付のマッチング制度に関わる20億ドルの費用だ。現金の支出を伴わない計上で、これを含む「その他の営業・管理費」は4〜6月期の10億3,100万ドルから35億8,800万ドルに膨らんだ。
届出書が示す調整後の営業利益率は15%で、前年同期のマイナス93%から改善した。営業利益率そのものはマイナス3%で、前年同期のマイナス224%から縮んでいる。
純損失の大半は、なお評価替え
7〜9月期の純損失は232億9,100万ドルだった。このうち219億3,600万ドルは転換社債や SAFE (将来の株式を受け取る権利) の公正価値の変動で、会社の評価額が上がるほど帳簿上の損失が膨らむ計上だ。4〜6月期の評価損596億ドルからは小さくなった。この構造は 11月2日の Deep Dive で詳しく扱っている。
計算資源の先の約束も大きい。届出書によると、9月末とその後に結んだ購入の約束とリースの総額は約8,954億ドルで、このうち約698億ドルが9月末から12か月以内に支払い期日を迎える。
次に見るもの
修正版でも、売り出す株数と1株あたりの価格帯はまだ空欄のままだ。確認先は SEC の EDGAR にある Anthropic, PBC (CIK 0002130357) の提出書類の一覧で、次の修正版で価格帯と株数が入るかを見る。価格帯が入れば上場時の評価額が計算でき、7〜9月期に評価損を生んだ転換社債が、どの値段で株に換わるかも見えてくる。もう1つは、短期の契約で買った50億ドルの計算資源が次の四半期にも続くかだ。複数年の契約の計算資源が届けば、計算資源の費用の比率は再び下がる。
ことば
- S-1/A — 米国で株式を新たに公開する会社が SEC に出す登録届出書 (S-1) の修正版。上場までに何度も出し直し、最新の決算や、売り出す株数・価格帯を書き足していく。
- 短期の計算資源の契約 — 数年単位で予約するのではなく、需要に合わせて短い期間で借りる GPU などの計算資源。すぐ手に入る代わりに割高で、Anthropic は7〜9月期に50億ドル分を使った。
- 純収益維持率 (NRR) — 1年前に売上があった顧客が、いまどれだけ支払っているかの比率。Anthropic は個人向けの定額プランを除いて算出し、9月末で約900%と届出書に記した。
🔗 一次ソース
