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SNAPSHOT 2026-11-08 07:30 JST

Deep Dive

🔬 Deep Dive|米議会のねじれ、日本には金利・原油・通商の三つの経路で

米中間選挙の翌日、日経平均は一時4.84%安。2027年の米国のねじれは、金利と円、原油、通商と投資の三つの経路で日本に届く。

LiveMakers Editorial Desk

🔬 Deep Dive|米議会のねじれ、日本には金利・原油・通商の三つの経路で

米中間選挙の結果が出た11月4日、東京市場で日経平均株価は一時3,051円 (4.84%) 下げて6万30円をつけ、終値は893円安の6万2,188円で引けた。木原官房長官は「選挙結果いかんに関わらず、日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸だ」と述べた。

Newsweek日本版 (ロイター) — 日経平均は3日続落、米中間選の民主勝利で 6万円割れ寸前で下げ縮小ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

同盟の軸は変わらない。変わるのは、その同盟の相手国で物事が決まる場所である。2027年の米国は、大統領と議会の多数派の党が違う「ねじれ」に入る。民主党は上下両院とも大統領の拒否権を覆す3分の2に届かず、トランプ大統領は民主党が「ばかげたもの」を送ってくれば「拒否権を使う」と述べている (アイルランド公共放送 RTÉ)。新しい法律は双方の同意なしには通らず、米国の政策は予算の期限と大統領令で動く比重が増す。そのねじれは、金利と円、原油、通商と投資の三つの経路で日本に届く。本稿は東京市場の最初の反応から入り、三つの経路を順に確かめる。

東京市場が最初に売ったもの

4日の東京市場で売られたのは、AI と半導体の銘柄だった。ロイターは、民主党が AI の規制に積極的とみられ、データセンターへの投資が鈍るとの懸念からキオクシアやアドバンテスト、ソフトバンクグループが大きく下げたと伝えている。全体の結果が見えると材料出尽くしの買い戻しが入り、日経平均は安値から2,000円以上戻した。東証プライムの売買代金は10兆8,055億円に膨らんだ。

為替は、開票が進むにつれてドル売り・円買いが優勢になり、ドル円は昼過ぎに157円41銭まで下げたのち158円台に戻した。新発10年国債の利回りは朝方に2.785%と、前日の米金利の上昇を受けて小幅に上がった。

日本の株式市場は、米国の AI 投資の下請けとしての顔を強めている。米国でデータセンターの建設が州の政治で止まりうるという見方は、半導体の製造装置と記憶媒体を通じて、そのまま東京の値段に移った。

第一の経路、金利と円

日米の金利は、2026年に同時に上がった。日銀は6月16日に政策金利を1%へ上げ、植田総裁が入院で不在のなかでの決定になった。9月18日には1.25%へ上げ、1995年以来の水準になった。審議委員2人が反対した。10月の会合では据え置き、次の会合は12月17〜18日である。

米国では、FRB が9月16日に利上げし、10月28日の会合では政策金利を3.75〜4.00%に据え置いた。2人の理事が利上げを主張して反対した。米10年債利回りは投票日の11月3日に4.95% (米財務省の公表値) で、開票が進むと4.92%前後に下がった。

日本の長期金利は10月にいったん頂点をつけた。財務省の公表値で、10年債利回りは10月7日に3.111%と1990年代半ば以来の水準になり、30年債は10月6日に4.168%に達した。その後は下がり、11月2日の10年債は2.817%、30年債は3.940%である。

円は、夏に一つの節目を越えた。ドル円は7月23日に163円99銭と約39年8か月ぶりの円安水準をつけ、7月31日には日米の財務当局が約28年ぶりに協調して円を買った。片山財務大臣は8月3日の談話で米財務省との協調介入を認め、財務省の発表では7月30日から8月26日までの介入額は計15兆3,993億円と、月次の公表で過去最大になった。

ねじれの議会は、この経路に二つの方向で効く。一つは財政である。共和党が両院を守っていれば、トランプ大統領が掲げた成人1人5,000ドルの給付のような大型の財政出動が通る余地があった。民主党の議会はそれを通さない。米国の財政の膨張に歯止めがかかれば、米長期金利の上振れの圧力は弱まる。もう一つは債務の上限で、2027年に上限に達すると、議会と大統領の交渉が長引くたびに米国債の市場が揺れる。

日本は、その米国債の最大の保有国である。米財務省の統計で、日本の保有額は8月末に1兆683億ドルと、2月の1兆2,393億ドルから6か月続けて減った。2位の英国 (1兆95億ドル) との差は縮まっている。円買い介入の原資となる外貨準備の多くは米国債で運用されている。日本の為替政策と米国の財政の交渉は、同じ市場の上でつながっている。

第二の経路、原油とホルムズ海峡

ホルムズ海峡の封鎖は、日本の原油の調達を作り変えた。資源エネルギー庁の石油統計の速報によると、8月の原油輸入に占める中東の比率は60.7%で、前年同月から35.1ポイント下がった。2025年には月ごとに94〜97%台だった比率である。代わりに増えたのが米国で、8月の米国からの輸入は前年同月の12倍を超え、サウジアラビアに次ぐ2位になった。

国内の値段は、補助金で抑えている。資源エネルギー庁の調べで、10月26日のレギュラーガソリンの全国平均は1リットル170.1円だが、補助金がなければ212.9円になる。10月29日からの補助は1リットル52.4円で、原油の値段が上がるほど財政の負担が増える仕組みだ。国家備蓄の原油は3月26日と5月1日からの2度にわたって放出された。

この経路で米議会のねじれが効くのは、イランとの戦争の行方を通じてである。民主党の議会は、戦費の補正予算と戦争権限で大統領を縛ろうとする。戦争が交渉で終われば海峡が開き、原油の値段と日本の補助金の負担は下がる。一方で、日本の原油の調達で米国の比重が上がったことは、米国のエネルギー政策と通商の交渉が、日本の電気代とガソリン代に直接つながる新しい回路にもなった。

第三の経路、通商と5,500億ドルの約束

関税は、2026年に法的な土台が入れ替わった。連邦最高裁は2月20日、大統領が緊急権限法 (IEEPA) で課した相互関税を違法と判断した。代わりに課された通商法122条の10%の上乗せ関税は、法律が定める150日の期限を迎えて7月24日に失効した。延長には議会の承認が要るが、議会は延長しなかった。

その後の関税は、議会の承認を要しない別の条項に移った。米通商代表部は7月23日、強制労働の産品を理由に約60の国・地域に通商法301条の関税を課すと決め、日本は一般の関税と合わせて12.5%になる。自動車は安全保障を理由とする232条の対象で、2025年9月の大統領令で日本車の関税は15%と定められた。

日本は、最高裁の判断の後も5,500億ドル (約85兆円) の対米投資と融資の約束を維持している。2月には、オハイオ州のガス火力発電など最初の3件、計360億ドルの案件が発表された。

ねじれの議会の下で、この構図は動きにくい。関税を新しい法律で裏付ける道は、民主党の議会では開かない。政権は議会を通さない条項で関税を続け、日本はそれに対して投資の約束で応じる。通商の交渉は、2027年も議会ではなく大統領府と日本政府の間で進む。ただし民主党の議会は、日本からの投資がどの州のどの電力事業に向かうかに、公聴会と調査で光を当てることができる。

同盟の予算と、日本の2027年の暦

安全保障の経路は、予算の形で表に出る。在日米軍の駐留経費の日本側の負担を定める特別協定は2027年3月末に期限を迎え、日米は2027年度からの5年分の交渉を続けている。米国側はより多くの負担を求めている。日本は防衛費の GDP 比2%を2025年度に前倒しで達成し、2026年度の防衛関係費は過去最大の9兆353億円になった。安全保障の三つの文書の改定は、12月の閣議決定に向けて進んでいる。

日本の側の政治は、米国と逆に安定している。高市首相は2月8日の衆院選で自民党単独316議席を得た。2027年の日本の節目は次のとおりである。

時期日本米国
1月日銀の会合 (21〜22日)第120議会の招集 (3日)、ステーブルコインの法律 GENIUS 法の発効 (18日)
3月末在日米軍の駐留経費の特別協定の期限2027会計年度の予算の攻防
4月統一地方選 (11日・25日の予定、特例法案を閣議決定)債務の上限への到達が近づく
9月自民党総裁の任期満了と総裁選2028年大統領選の候補者の名乗り

暗号資産の分野でも、日米の制度が並んで動く。日本では7月15日、暗号資産を金融商品取引法の対象に移す改正法が成立した。売却益への20%の分離課税は、改正法の施行の翌年、2028年1月からになる見通しである。米国では GENIUS 法の発効で、ドルのステーブルコインの発行者の免許制が2027年1月に始まる。

次に見るもの

  • 11月18日 — 米財務省の対米証券投資統計 (TIC) の9月分。日本の米国債の保有額が7か月続けて減るかどうか
  • 11月18〜19日 — 中国・深圳での APEC 首脳会議。高市首相は出席の意向を示しており、米中・日中の首脳の接触と、レアアースの輸出規制の扱いが焦点になる
  • 12月17〜18日 — 日銀の金融政策決定会合。12月9日の FRB の会合の結果を受けて、日米の金利差の次の形が決まる

ことば

  • 協調介入 — 複数の国の通貨当局が同じ方向に為替市場で売買すること。1か国の介入より市場への効果が大きいとされる。2026年7月31日の日米の円買いは約28年ぶりで、2025年9月の日米財務大臣の共同声明に基づくと説明された。
  • 通商法301条 — 外国の不公正な慣行に対して、米通商代表部が関税などの対抗措置をとれる条項。議会の新たな承認を要しないため、緊急権限法の関税が違法とされた後の関税の主な根拠になった。
  • 特別協定 (在日米軍駐留経費) — 在日米軍の駐留にかかる費用のうち、日本が負担する額と範囲を定める日米の協定。おおむね5年ごとに結び直し、国会の承認を要する。現在の協定は2027年3月末に期限を迎える。

🔗 一次ソース

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