Signal
📡 Signal|Binance、15ネットワークで出金を段階再開へ
第1段階は需要順に15ネットワーク。補塡は約95%に進んだが、100%裏付けの10銘柄と再開の並びはずれている。

Binance は日本時間 11 月 1 日 13 時台、流出事件の 4 本目の公式更新を出し、止めていた出金を同日の協定世界時 6 時〜9 時(日本時間 15 時〜18 時)から段階的に再開すると告知した。第 1 段階の対象は BTC・ETH・BSC・SOL など 15 のネットワークで、流出した資産の穴埋めは被害額の約 95% に達したとしている。前日の 3 本目の更新では約 90% だった。
10 月 30 日に出金を止めてから約 2 日半で、利用者が資産を外に動かせる経路が戻り始める。ただし第 1 段階に入ったのは、この 1 週間に利用者の出金の需要が多かった銘柄とネットワークで、裏付けが 100% と明言された 10 銘柄と同じ並びではない。何が先に戻り、何が残ったかは、銘柄の単位で確かめる必要がある。
事件の第一報は 速報、90% に達した 3 本目の更新は 11 月 1 日の Signal、34 時間の目標は 10 月 31 日の Signal で読んだ。本稿は、4 本目の更新で新しく分かったことを拾う。
第 1 段階の 15 ネットワーク
告知の表に載った第 1 段階の対象は次のとおりだ。
- BTC: BTC
- ETH: ETH・USDT・USDC
- BSC: BNB・USDT・USDC
- TRX: TRX・USDT
- SOL: SOL・USDT・USDC
- XRP / ZEC / DOGE / SUI: それぞれのネイティブ資産
- TON: USDT・GRAM
- Polygon: POL・USDT・USDC
- Avalanche C チェーン: AVAX・USDT・USDC
- Arbitrum: ETH・USDT・USDC・ARB
- Base: ETH・USDC
- Optimism: ETH・USDT・USDC
Binance は、ネットワークと銘柄の組み合わせごとに安定性と安全の確認を終えてから開けるとしている。選ぶ順番は「過去 1 週間の利用者の需要」にもとづく。表にないネットワークと銘柄は、準備ができ次第加える。入金はもともと止めておらず、事件の影響を受けていない。
始めのうちは混雑で処理が遅れる可能性があり、出金が通らなければ少し待って試し直すよう求めている。これは段階的な再開では想定内の動きだという。
裏付けの 10 銘柄と、第 1 段階の並びのずれ
3 本目の更新から続けて、BTC・ETH・USDT・BNB・SOL・USDC・XRP・USD1・RLUSD・ZEC の 10 銘柄は残高が 100% 裏付けられていると明記している。穴埋めは 90% から 95% に進み、残る 5% は「この 10 銘柄の外」のトークンで、市場での流動性が低く、必要な量を集めるのに時間がかかるという。市場と相対取引(OTC)での買い付けは続いている。
第 1 段階の表と見比べると、2 つのずれがある。
1 つは、100% 裏付けの 10 銘柄に入っている USD1 と RLUSD が、第 1 段階の表にないことだ。もう 1 つは、表には DOGE・TRX・SUI・AVAX・POL・ARB・GRAM のように、10 銘柄の外にある資産が入っていることだ。告知はこれらの裏付けの割合を個別には示していない。出金を開ける順番は需要で決め、裏付けの進み具合は別に積み上げている、と読むのが告知の文面に沿う。
利用者の目線では、「100% 裏付け」の銘柄でもすぐには引き出せない場合があり、逆に裏付けの割合が示されていない銘柄が先に引き出せる場合がある。自分の持つ銘柄がどちらにあたるかは、出金画面とネットワークの稼働状況のページで確かめるしかない。
事後報告を約束、損失は会社が負う方針は変わらず
4 本目の更新は、出金を止めた理由を改めて説明した。被害の封じ込め、影響の評価、サービスの復旧、安全の確認を終えるまでの予防措置だったという。この間に、影響を受けたサービスの安全の見直し、出金の仕組みの点検、法執行機関や業界の相手と協力した追跡と回収、会社の資金による穴埋め、残るリスクの監視を進めたとしている。
調査が終わった後には、事件の詳細をまとめた事後報告(ポストインシデント・レポート)を出すと約束した。盗まれた資金の損失は利用者に回さず会社が負う、という一文は 1 本目の更新から変わっていない。
次に見るもの
最初の確認先は、Binance の公式 X の投稿だ。告知は、段階的な再開の進み具合を公式 X で知らせるとしている。第 1 段階が予定の時間帯に始まったか、表にない USD1・RLUSD や他のネットワークがいつ第 2 段階に入るかが、ここで分かる。
その次は、協定世界時 11 月 3 日(火)の見込みとされた準備金の証明のゼロ知識証明だ。3 本目の更新で示された日程で、利用者は自分の残高の裏付けを自分で検証できるようになる。残り 5% の穴埋めと事後報告がそれに続く。
ことば
- 段階的な再開 — 止めていたサービスを、全部を一度に戻さず、ネットワークや銘柄ごとに順番に開けるやり方。一度に開けると出金が集中して処理が詰まり、確認の漏れも起きやすいため、取引所の事件後の復旧ではよく使われる。
- RLUSD — 米 Ripple が発行する米ドル建てのステーブルコイン。XRP Ledger と Ethereum の上で発行されている。今回の告知では残高が 100% 裏付けられた 10 銘柄に入る一方、出金の第 1 段階の表には載っていない。
- 事後報告(ポストインシデント・レポート) — 事件の後に、原因、経緯、被害の範囲、再発防止策をまとめて公開する報告書。何が破られ、どこで止められたかが初めて一続きの記録になる。
🔗 一次ソース
- Binance「Security Incident | Recovery Update #4: Withdrawals Resume in Phases (2026-11-01)」(第 1 段階は協定世界時 11 月 1 日 6 時〜9 時・15 ネットワークと対象銘柄・補塡 約 95%・事後報告の予定)binance.com
- Binance「Security Incident | Recovery Update #3」(2026 年 10 月 31 日・補塡 90%・10 銘柄は 100% 裏付け・ゼロ知識証明は 11 月 3 日の見込み)binance.com
- Binance 準備金の証明(Proof of Reserves)のページbinance.com