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📡 Signal|NASA、月面輸送の CLPS 2 を8社と契約 上限100億ドル
NASA が月面輸送の新契約 CLPS 2 を SpaceX・Blue Origin・ispace の米国法人など8社と結んだ。10年・上限100億ドルの枠で、個別の注文はこれから競争で決まる。

NASA は11月7日 (米国時間)、月面へ荷物を届ける民間の輸送の新しい契約「CLPS 2」を8社と結んだと発表した。期間は10年、8社合わせた上限は100億ドルで、SpaceX・Blue Origin・Intuitive Machines・Firefly Aerospace・Lockheed Martin・Northrop Grumman・Voyager Technologies と、日本の ispace の米国法人 ispace-U.S. が名を連ねる。
NASA 発表「NASA Awards Moon Base Transportation, Technology, Science Projects」(11月7日・CLPS 2 の8社・上限100億ドル・PROMISE と VADR の注文)NASA
100億ドルは8社が受け取る額ではなく、この先10年で個別の注文を出せる枠の上限だ。それでも、AI 関連株が大きく売られた週に、宇宙では政府の需要が10年分の枠として積み上がった。
上限100億ドルの読み方
CLPS 2 は、複数の会社と同じ親契約を結び、その後の注文 (タスクオーダー) ごとに受注を競わせる IDIQ (数量を確定しない複数受注型) の契約だ。発表の時点で、CLPS 2 の下で出された個別の注文はない。各社の受注額は、これから一件ずつの競争で決まる。
前の契約 CLPS 1.0 も同じ形で、上限は当初の26億ドルから42億ドルに引き上げられた。注文の受付は2028年11月まで続き、受注済みの輸送は2033年11月まで完了の猶予がある。2つの契約がしばらく並んで走ることになる。
上限は前の契約の初期値の約4倍になった。NASA が月面の拠点 (Moon Base) づくりを「一回の打ち上げごとに積み上げる」(アイザックマン長官) と言うとき、その積み上げの受け皿がこの枠になる。
8社の顔ぶれ
8社は、大型ロケットを持つ会社、月着陸の実績を持つ会社、防衛の大手に分かれる。
- 大型ロケットと着陸機の両方を持つ — SpaceX、Blue Origin
- 月面着陸機の実績を持つ — Intuitive Machines、Firefly Aerospace、ispace-U.S.
- 防衛・宇宙の大手 — Lockheed Martin、Northrop Grumman
- 宇宙ステーションなどを手がける — Voyager Technologies
CLPS 1.0 で着陸機を飛ばしてきた Astrobotic は、今回の8社の一覧にない。ispace は東京証券取引所に上場する月面輸送の会社で、米国法人が米国の公共調達の枠に入った。
同じ日の注文は Blue Origin に厚い
同じ発表では、月面の拠点に向けた個別の発注も並んだ。金額が示されたものは次のとおりだ。
- 原子力電池で動く探査車 PROMISE の月の南極への輸送 — Blue Origin、基本9,400万ドル (成績に応じて1億4,000万ドルの追加の選択権)
- 小型ロケットと宇宙空間の輸送の契約 (VADR) の6件の注文 — Arrow Science and Technology、Blue Origin、Impulse Space の3社で合わせて約13億ドル
- Starship で月の周回軌道へ通信衛星を運ぶ実証 (2028年) — SpaceX、金額は非公表
PROMISE は NASA のジェット推進研究所が、火星探査車 Curiosity と Perseverance の予備の部品で組む6輪の探査車で、2028年後半の打ち上げを目指す。Blue Origin は着陸機 Mark 1 で運ぶ。CLPS 2 の枠が「誰が入れるか」を決める契約なら、こちらは「誰に実際の仕事が来たか」を示す。今日の時点で、具体的な金額のついた仕事が最も多く並んだのは Blue Origin だった。
AI の売りの週に、宇宙は政府の枠が積み上がる
11月5日の米国株は、AI のデータセンターの建設が遅れるとの見方から大きく売られた (11月6日の Signal)。資金を市場から借りて建てる AI の設備に対し、宇宙の事業は政府の長期の枠に支えられる部分が大きい。
ただし枠は約束ではない。上限100億ドルのうちどれだけが実際の注文になるかは、毎年の NASA の予算と、着陸の成否で変わる。上場する受注各社にとって、今回の発表は売上の確定ではなく、この先10年の入札に参加できる権利の獲得だ。
次に見るもの
確認先は NASA の CLPS のページと、各社の決算の受注残の欄だ。CLPS 2 で最初の個別の注文がどの会社に、いくらで出るかが、8社の差を最初に示す。電力の側では、月面の電源設備をまとめて発注する別の募集が2027年初めに出る予定で、ここで次の受注の顔ぶれが分かる。
ことば
- CLPS (商業月面輸送サービス) — NASA が月面へ観測機器などを届ける輸送を、自前の機体ではなく民間の着陸機に注文する仕組み。NASA は荷物の届け先と時期を決め、着陸機の設計と運用は各社が担う。
- IDIQ (数量を確定しない複数受注型契約) — 発注の上限と期間だけを先に決め、個別の仕事はその都度注文する米国政府の契約の形。上限額は受注の保証ではなく、実際に払われる額は注文の積み上げで決まる。
🔗 一次ソース