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📡 Signal|Polkadot、発行会社を置かないドル建てステーブルコイン dotUSD を稼働

Polkadot がガバナンス投票で可決したドル建てステーブルコイン dotUSD を稼働させた。発行会社を置かない設計だが、第1段階の裏付けは USDT だ。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|Polkadot、発行会社を置かないドル建てステーブルコイン dotUSD を稼働

Polkadot は10月8日、ドル建てのステーブルコイン「dotUSD」の稼働を公式 X で告知した。同じ日、トークン保有者の投票 (OpenGov) で可決された提案 (レファレンダム) 1944 号がチェーン上で実行され、発行の仕組みと初期の流動性がネットワークに組み込まれた。

公式の説明は「発行会社がなく、単一の管理点もない」ステーブルコインだ。ただし稼働した第1段階は、USDT を預けて1対1で dotUSD を発行する仕組みで、裏付けの中身は既存の発行体型ステーブルコインそのものにある。発行会社を持たないという設計の目標と、いま動いている仕組みとの間には段差がある。その段差を投票の記録から確かめる。

レファレンダム 1944 号で何が決まったか

提案の題は「dotUSD: A Native Stablecoin for Polkadot」。ネットワークの最上位の権限で実行される Root トラックにかけられ、9月7日に提出、10月8日 (協定世界時) に実行された。提案したのは Polkadot Community Foundation (PCF) だが、本文の免責で、PCF は事務的に提出するだけで、dotUSD の運用・発行・資産の保管・流動性の提供は行わないと明記している。発行体は置かず、チェーン上のロジックで自律的に動く、という建て付けだ。

投票で決まった中身は大きく3つある。

  • USDT と dotUSD を1対1で交換できる仕組み (PSM) を置き、利用者が双方向に交換できるようにする
  • 共同の資金であるトレジャリーから、USDT 250万ドル分で dotUSD を発行し、250万ドル分の DOT とあわせて DOT と dotUSD の取引プールに入れる
  • dotUSD を、DOT を持たなくても保有できる資産に設定する

98% の賛成と、0.11% の参加

集計は賛成 463万1,111 DOT、反対 7万810 DOT で、賛成率は98.49% だった。ただしこの数字は、トークンをロックする期間に応じて票に倍率をかけた後の値だ。倍率をかけない賛成票は約187万 DOT で、投票できる DOT 全体 (約16億7,656万 DOT) に対しては約0.11% にとどまる。

承認の条件は満たしており、手続きとして正当な可決だ。一方で「コミュニティが圧倒的に支持した」と読める98% と、ネットワーク全体のうち意思を示した票の厚みとは別の数字になる。発行会社の代わりに DAO (分散型の自律組織) が統治するという設計では、この参加の薄さがそのまま統治の厚みになる。

「発行会社がない」のは第2段階から

第1段階の dotUSD は、預けられた USDT の分だけ発行される。オラクル (外部の価格情報) も清算も使わない。価格が1ドルに保たれる根拠は USDT にあり、USDT の発行体である Tether の信用を借りている状態だ。

提案が描く本来の姿は第2段階にある。利用者が DOT を担保に預け、その価値より少ない額の dotUSD を発行する過剰担保型で、設計は Ethereum 上の Liquity v2 (BOLD) を土台にしている。提案の例では、1 DOT が5ドルのとき300 DOT (1,500ドル分) を預けると最大1,000ドル分を発行でき、担保比率は150% になる。担保の価値が下限を割れば清算され、返済に備える資金のプール (stability pool) や償還の仕組みも入る。第2段階の時期は示されていない。

自前のステーブルコインを持とうとする L1 チェーンは Polkadot だけではない。Hyperliquid の USDH は、バリデータの投票で発行会社 (Native Markets) を選び、現金と短期米国債で裏付ける型をとった。発行体を選ぶか、発行体を置かないか。dotUSD は後者を選んだが、DOT 担保に移るまでは、裏付けの信用を外部の発行体に頼る点で USDH と同じ地点に立っている。

基本線は、第1段階の dotUSD が Polkadot 上のアプリの決済や取引の単位として使われ始め、第2段階の実装を待つ流れだ。リスクは、第2段階で DOT が担保になることによる再帰性にある。DOT の価格が下がれば担保が減り、清算の売りがさらに DOT を押し下げる。提案自身もこの連鎖のリスクを認めている。

次に見るもの

確認先は Polkadot の OpenGov で、第2段階 (DOT 担保の vault・オラクル・清算) を実装する次のレファレンダムが提出されるかどうかだ。提出されれば、そこで担保比率の下限と清算の条件が数字で示される。あわせて、Subsquare のレファレンダム 1944 号のページと取引プールの残高で、USDT を預けて発行された dotUSD の量が当初の250万ドル分からどれだけ増えるかを見る。

ことば

  • OpenGov — Polkadot のオンチェーン統治の仕組み。DOT の保有者が提案に投票し、可決されればチェーン上で自動的に実行される。dotUSD の発行の仕組みもこの手続きで組み込まれた。
  • PSM (Peg Stability Module) — 別のステーブルコインと1対1で交換して、価格を1ドルに保つための仕組み。dotUSD の第1段階は USDT とのこの交換だけで発行されている。
  • 過剰担保型 — 発行額より大きな価値の暗号資産を担保に預けて発行する方式。担保の価格が下がって比率が下限を割ると、担保が清算される。dotUSD は第2段階でこの方式に移る。

🔗 一次ソース

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