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Weekly Brief

LVM Weekly Brief #8|米30年債5.49%と株高が同居した3営業日

米30年債は9月25日に5.49%で引け、上げ幅15bpのすべてが23日水曜からの3営業日で出た。2年債は5bpしか動かず、曲線は前週と反転して立った。同じ週にS&P 500は1.21%高、ビットコインは3.33%高、ADAは13.55%高。下げたのは金と原油だった。財務省は長期ゾーンの買い戻しをすでに倍にしており、中央銀行3行も量を増やしていない。トークン化米国債は残高149億6,000万ドルで横ばい、保有者だけが1週間で6.0%増えた。

LiveMakers 編集デスク

LVM Weekly Brief #8|米30年債5.49%と株高が同居した3営業日

Executive Summary

米財務省の日次パー利回りで、30 年債は 9 月 25 日に 5.49% で引けた。 9 月 18 日の 5.34% から 15bp (ベーシスポイント = 0.01%) 高く、その上げ幅はすべて 23 日水曜からの 3 営業日で出ており、同じ 3 日に株も暗号資産も上げている。

週の前半、21 日と 22 日の 30 年債はむしろ 5.29% まで下げていた。 水曜に 11bp 上げてから戻さず、木曜 5.47%、金曜 5.49% と積み上がった形になる。同じ週の S&P 500 は週末比 1.21% 高の 7,743.41、日経平均先物は 2.31% 高の 66,490 円、ビットコインは 3.33% 高の 8 万 3,946 ドル。金利上昇で押されるはずの資産が、そろって上げている。

曲線の動き方が先週と反転した。 財務省の値で 9 月 18 日と 25 日を比べると、2 年債は 4.76% から 4.81% へ 5bp しか動かず、10 年債は 5.01% から 5.17% へ 16bp、20 年債は 5.38% から 5.54% へ 16bp、30 年債は 15bp 上がった。前号で見たのは真逆の形で、あの週は 2 年債が 13bp 上がって 30 年債が 1bp 下げていた。2 年債と 30 年債の差は 58bp から 68bp へ 10bp 開いている。政策金利の値段は動かず、期間を持つことの値段だけが動いた週だ。

下げたのは金と原油だった。 金は 2.16% 安の 1 オンス 4,320.5 ドル、WTI は 3.17% 安の 1 バレル 92.44 ドル。VIX は 14.87 でほぼ横ばい、ドル指数は 0.82% 高の 101.035 で、ドル円は 157 円 19 銭と 0.21% の円安にとどまった。金利が上がってインフレ連動の資産が下がり、株価の変動を保険する値段が動かないなら、今週の金利上昇は物価の話として消化されていない。国債を長く持つことへの上乗せの話として消化されている。

暗号資産では小型が先に走った。 ADA は 13.55% 高の 0.2562 ドル、NIGHT は 3.87% 高。ビットコインの 3.33%、イーサリアムの 2.17% を上回っており、9 月 21 日に Cardano Foundation が発表した x402 対応が材料として動いた。トークン化資産の側では、米国債の器の残高が横ばいのまま保有者だけが 1 週間で 6.0% 増えている。

Macro Lane

30 年債 5.49% は、水曜から金曜の 3 日で作られた。 米財務省が公表する日次パー利回り曲線で、30 年債は 9 月 18 日 5.34%、21 日 5.29%、22 日 5.29%、23 日 5.40%、24 日 5.47%、25 日 5.49% と動いた。週の前半は前週末より低い水準にあり、23 日に 11bp 上げてから戻していない。10 年債も同じ形で、18 日 5.01%、23 日 5.11%、24 日 5.18%、25 日 5.17%。報道は、取引時間中の高値として 10 年債が 2007 年以来、30 年債が 2004 年以来の水準に達したと伝えている。

年限ごとの 1 週間の変化を並べると、動いた場所が見える。1 か月物 3.97% → 4.04% (+7bp)、3 か月物 4.14% → 4.24% (+10bp)、1 年債 4.44% → 4.50% (+6bp)、2 年債 4.76% → 4.81% (+5bp)、3 年債 4.83% → 4.94% (+11bp)、5 年債 4.86% → 4.98% (+12bp)、7 年債 4.93% → 5.06% (+13bp)、10 年債 +16bp、20 年債 +16bp、30 年債 +15bp。10 年から 20 年にかけて山ができており、政策金利にいちばん近い 2 年債が最も動いていない。

差で見ると、2 年債と 10 年債の差は 25bp から 36bp へ、2 年債と 30 年債の差は 58bp から 68bp へ開いた。一方で 10 年債と 30 年債の差は 33bp から 32bp へ 1bp 縮んでいる。曲線が立ったのは 2 年から 10 年にかけての部分で、10 年より先はそろって平行に上がった。付け替わったのは、政策金利の行き先の予想ではなく、10 年以上のお金を貸すこと自体の値段だ。

財務省はすでに長い年限の買い戻しを倍にしていた。 8 月 19 日、米財務省は流動性支援を目的とした国債の買い戻し (バイバック) について、10 年から 20 年のゾーンと 20 年から 30 年のゾーンの 1 回あたりの規模を「少なくとも 2 倍」にすると発表した。それまでの上限 20 億ドルに対し、新しい規模は 1 回あたり最低 40 億ドル。適用は 9 月 9 日からで、四半期定例入札の期間が終わる 11 月 4 日まで続く。財務省は増額の理由として、長い年限の買い戻しに対して市場参加者から一貫して強い応札があり、質の高い売り注文がまとまった量で集まっていたことを挙げている。

つまり、長い年限の需給を支える公的な受け皿は、今週すでに通常の 2 倍の大きさで動いていた。それでも 3 営業日で 15bp 出たことになる。買い戻しの規模を決めた側が次に情報を出すのは 11 月 4 日の四半期定例入札で、そこで財務省は今後の買い戻し規模について説明すると予告している。今の増額が一時的な措置なのか標準になるのかは、その日に分かる。

供給側の話として、AI 向けの社債発行が同じ市場に重なっている。 9 月 22 日の報道によれば、高格付け社債の市場は二つに割れており、AI 関連企業の起債には投資家が慎重で、金融や工業など従来型の発行体の起債には旺盛な応札が入っている。データセンター、半導体、AI インフラの資金需要が読みにくい量で出てくるため、買い手は発行時の上乗せ利回りを厚く求め、保有の集中度を見直しているという。大手クラウド事業者の総発行額は来年 4,200 億ドルに達するとの見方も出ている。国債の長い年限と社債の長い年限は同じ投資家の同じ枠を取り合うので、どちらかの供給が増えれば、もう一方の上乗せ利回りも上がる。

財政・流動性の定点。 米連邦準備制度理事会 (FRB) の総資産は 9 月 23 日時点で 6 兆 7,477 億ドル、前週比 11 億 5,600 万ドル増。うち保有証券は 6 兆 4,711 億ドルで 7 億 6,800 万ドル増えた。欧州中央銀行 (ECB) の週次財務諸表では、9 月 18 日時点のマネタリーベースが 3 兆 9,446 億ユーロで前週比 7 億ユーロ減、金融政策目的で保有する証券は 3 兆 3,466 億ユーロで 125 億ユーロ減っている。減少はすべて償還によるもので、新規購入はない。日本銀行の営業毎旬報告は 9 月 20 日時点の総資産が 641 兆 2,813 億円、国債保有が 520 兆 3,025 億円だった。

3 中銀とも、量の面では今週も膨らんでいない。前号と同じ絵が 1 週間続いたことになるが、今週はその意味が変わった。中央銀行が買わない状態が定着したうえで、財務省が買い戻しを倍にしても長い年限が売られた。値段を決めているのは、政策当局の在庫より、民間がどれだけ長く持てるかのほうだ。

日本市場は、米長期金利が動いた 3 日のうち 3 日とも休んでいた。 9 月 21 日の敬老の日、22 日の休日、23 日の秋分の日で東京市場は 3 営業日止まり、再開した 24 日がちょうど日銀の新しい誘導目標の適用開始日にあたった。日銀は 9 月 18 日の金融政策決定会合で無担保コールレートの誘導目標を 1.25% 程度へ 7 対 2 で引き上げ、補完当座預金制度の適用金利も含めて 9 月 24 日からの適用としていた。米国の長い年限が動き出した水曜に日本は祝日で、木曜に戻ったときには日本側の政策金利も入れ替わっていた形になる。

金利差の週次比較は、今週に限って片側しか取れない。日本相互証券が公表する国債の参考利回りで確認できた直近は 9 月 18 日で、10 年 2.985%、20 年 3.815%、30 年 4.060%。同じ 18 日の米 10 年債は 5.01% なので、日米の 10 年金利差はこの日 2.03 ポイントだった。その後 25 日までに米国側だけが 16bp 上がっている。日本側が同じだけ追いかけたのか、それとも差が開いたのかは、財務省の国債金利情報で 9 月 24 日以降の日次値を見れば確かめられる。

確かなのは為替のほうだ。ドル円は 156 円 86 銭から 157 円 19 銭へ 0.21% の円安にとどまり、同じ週にドル指数は 0.82% 上がっている。ドル全体が上がった分より円の下げが小さいのだから、主要通貨の中で円は今週むしろ買われた側にいた。前号では金利差が縮んだのに 3 円 30 銭の円安が進んでおり、今週はその符号がまた入れ替わっている。利上げが実際に効き始める日を通過したこと自体が、円の下値を止めたと読むのが素直だ。

立法は止まったままだが、期日が決まっているのは規則の側だ。 暗号資産市場構造法案 (CLARITY 法、H.R.3633) は 9 月 15 日の討論終結採決が 49 対 50 で不成立となってから、今週も本会議に戻っていない。一方で、期日が決まっている手続きは進んでいる。米財務省が 8 月 18 日に官報 (Federal Register) へ掲載したステーブルコイン法 (GENIUS 法) 第 3 条の規則案は、意見募集の締切を 2026 年 10 月 19 日としている。法の施行想定日は 2027 年 1 月 18 日で、その日以降は連邦または州の免許を得ない者が米国内で決済用ステーブルコインを発行できなくなる。

法律が通らないことと、規制が動かないことは同じではない。免許がなければ発行できない日付は条文の中にすでに書かれていて、10 月 19 日に締め切られる意見が、その免許の中身を決める。市場構造法案の行方を待つあいだも、発行体が備える期限は先へ動かない。

Crypto Lane

ビットコインは 8 万 3,946 ドル、週末比 3.33% 高。 BlackRock の iShares ビットコイン・トラスト (IBIT) の公式ページでは、9 月 24 日時点の純資産が 673 億 1,332 万ドル、受益証券は 14 億 728 万口、1 口あたり純資産は 47.8352 ドルだった。米国の現物ビットコイン ETF 全体の資金フローについては、集計事業者の日次データを引いた報道が、9 月 21 日の純流入 9 億 9,895 万ドルを 2026 年で最大の 1 日と伝えている。同じ報道系列では、6 営業日続いた流入が累計 28 億ドルを超え、年初来の累計がこの過程で 4 月以来はじめて黒字へ転じたとされる。木曜には流入が 1 億 9,100 万ドル程度まで落ち着いた。

週間の確定値そのものは、次の集計を待つ必要がある。受益証券の口数は日次で更新されるので、IBIT の公式ページの口数が来週どちらへ動くかを見れば、価格上昇に現物の買いが伴っていたかどうかは一次の数字で確認できる。

イーサリアムは 2,687.84 ドルで 2.17% 高、ビットコインに置いていかれた。 BlackRock の iShares イーサリアム・トラスト (ETHA) は 9 月 24 日時点で純資産 98 億 1,180 万ドル、受益証券 4 億 8,316 万口、1 口あたり 20.3152 ドル。ビットコインとイーサリアムの価格比は前週末の 30.9 倍から 31.2 倍へ広がった。前号では両者がほぼ同じものとして取引された週を見たが、今週は大きいほうが先に買われている。金利が上がった週に、暗号資産の中でも先に買われたのが最も流動性の厚い銘柄だったという順番は、そのまま読める。

ADA は 13.55% 高、材料は 9 月 21 日の x402 対応だった。 CoinGecko の集計では ADA は 0.2575 ドル、7 日で 14.5% 高、30 日で 23.6% 高、時価総額 96 億 6,300 万ドルで順位は 17 位。9 月 21 日、Cardano Foundation は Cardano が x402 の公式 SDK に入ったと発表した。x402 は HTTP の 402 応答を使い、アプリや AI エージェントが Web リクエストの中で直接支払いを済ませる仕組みで、アカウントも API キーも決済ページも要らない。これに Cardano が加わったことで、ADA や Cardano 上の独自トークンで API 呼び出しの代金を払えるようになる。

対応の範囲は限定して読む必要がある。現時点で Cardano を扱えるのは SDK の TypeScript パッケージだけで、Python 版は予定にとどまる。支払いを仲介する facilitator は開発用のネットワークで実取引を通した段階で、本番ネットワークへの展開は済んでいない。値上がりの材料になったのは、使える経路が公式の側に入ったという事実のほうだ。日付のある次の確認先は、Cardano Foundation が示す facilitator の本番展開と、Python パッケージの公開になる。

NIGHT は 3.87% 高の 0.024856 ドルで、ビットコインを上回った。リップルとソラナの現物 ETF についても、9 月 25 日にそれぞれ 1,489 万ドル、3,281 万ドルの流入があり、XRP は 3 日連続、SOL は 5 日連続の流入だったと報じられている。主要銘柄の外側まで資金が届いた週という点では、前号からの流れが続いている。

📚 今週の論文

「Money and Power: Historical Lessons for Stablecoins and U.S. Dollar Dominance」(Michael D. Bordo、Carolyn Wilkins・全米経済研究所 (NBER) ワーキングペーパー w35768・2026 年 9 月)。 5 か国の民間発行通貨の歴史をたどり、ステーブルコインが規模を持って安全に機能するための条件を 5 つに整理した論文である。額面での兌換が信用されること、裏付け資産が高品質で透明であること、監督が発行体をまたいで統一されていること、額面どおりに決済が回る清算基盤があること、危機時の対応手段が用意されていること。著者は、ステーブルコインが決済の速さ、プログラム可能性、国境をまたぐ利用を改善しうる一方で、これら制度上の要件を消し去るわけではないと論じる。ドル建てステーブルコインはドル決済の届く範囲を広げうるが、それが米国の通貨的優位を強めるかどうかは、支える制度と、米国の制度への信認、財政余力、金融政策の信用、法の支配という土台に依存するという整理だ。GENIUS 法についての評価は分かれており、5 条件のうち十分に扱われているものとそうでないものがあり、危機時の対応と国境をまたぐ協調は扱いが薄いと指摘している。

含意は日付のある話につながる。GENIUS 法の規則案は 10 月 19 日に意見募集を締め切り、免許なしの発行が禁じられるのは 2027 年 1 月 18 日からだ。この論文が挙げた危機時の対応手段が規則のどこに書かれるかは、締切までに提出される意見の中で争われる。

「Sovereign Grassroots Currencies: A CBDC Architecture for Credit and Monetary Policy」(Ehud Shapiro・arXiv・2026 年 9 月 23 日投稿、24 日改訂)。 中央銀行デジタル通貨 (CBDC) の設計について、預金が銀行から中央銀行へ逃げる問題と、CBDC が信用供与や金融調節の外側に置かれてきた問題の両方を扱う枠組みを示した論文である。提案は 3 層で、法定通貨 1 単位を表す中央銀行の債務としてのコイン、誰でも発行でき額面で償還される非主権コイン、そして満期構造を持たせるための債券からなる。この形なら中央銀行は、新しく通貨を発行して預金と交換する手順を踏まずに、人々が実際に保有しているコインと債券のままで金利を設定し、証券を売買できる。取引相手も従来の銀行に限られない。著者は、要求払いで額面償還できる限り裁定によって非主権コインが額面を保つことを示し、小規模な実装を済ませたと述べている。

読み方は今週の定点と重なる。FRB、ECB、日銀はそろって量を増やしていない。中央銀行が資産を買うことで金融を緩める経路が細るほど、人々が持つ通貨そのものの上で金利を動かす設計は検討の対象になる。制度の話として遠いように見えて、量的緩和の出口が長引くほど近づく論点だ。

RWA Lane

トークン化米国債は 149 億 6,000 万ドル、残高は止まり、持ち主だけが増えた。 rwa.xyz の集計で、9 月 26 日時点のトークン化米国債の残高は 149 億 6,000 万ドル、30 日で 7.22% 減。商品数は 108、保有者は 8 万 3,706 で 7 日に 2.98% 増えた。前週の集計は残高 149 億 1,000 万ドル、保有者 7 万 8,969 だったから、1 週間で残高は 0.3% しか動かず、保有者は 6.0% 増えたことになる。30 日でみた減少率も 7.71% から 7.22% へわずかに縮んでおり、残高の収縮はいったん止まった形だ。

商品別では Circle の USYC が 24 億 3,000 万ドル、Ondo の USDY が 22 億 8,000 万ドル、BlackRock の BUIDL が 22 億 4,000 万ドル、Franklin Templeton の iBENJI が 17 億 2,000 万ドル、WisdomTree の WTGXX が 12 億 3,000 万ドル。前週と比べると USYC は 25 億 5,000 万ドルから、BUIDL は 23 億 8,000 万ドルから減っており、上位 2 本が縮んだのに全体が横ばいだったのだから、増えたのは上位以外の場所だ。

保有者 1 人あたりの残高で割ると、動きの方向がはっきりする。前週は 1 人あたり約 18 万 8,800 ドル、今週は約 17 万 8,700 ドルで、1 週間に 5.3% 小さくなった。同じ器に、より小さい単位で、より多くの人が入ってきている。器の中身の利回りは今週上がっていて、3 か月物の米国債は 4.14% から 4.24% へ 10bp 上がった。利回りが上がって残高が増えないのは、この商品を選ぶ理由が利回りだけではないことを意味する。決済や担保として使える場所に置いておく需要が、金利とは別の理屈で動いている。

private markets では、今週の金利上昇が利息に届かず評価にだけ効いた。 Blackstone の私募クレジットファンド BCRED について、米証券取引委員会 (SEC) の EDGAR で確認できる範囲では、9 月の提出は 3 日の買い戻しに関する書類が最後で、今週の新規提出はない。数字が出ない週なので、金利の側から見る。

私募クレジットの貸出は変動金利が中心なので、受け取る利息は短期金利に連動する。その短期金利は今週ほとんど動いていない。2 年債が 5bp、1 年債が 6bp、3 か月物が 10bp。一方、長期の資産をいま評価し直すときに使う割引率にあたる 10 年債は 16bp 上がった。つまり今週の金利上昇は、私募クレジットの収益には効かず、保有資産の評価にだけ効く形で通過している。四半期末の 9 月 30 日を挟んで報告される純資産価値は、この差をそのまま受ける。日付のある確認先は、BCRED の登録届出書の発効予定日である 10 月 17 日と、12 月上旬に出る第 4 四半期の買い戻し通知だ。

トークン化された信用は 79 億ドル、株式は 32 億ドル。カテゴリーごとに向きが違う。 rwa.xyz のトークン化クレジットは、実際にチェーン上で流通している残高が 79 億 1,000 万ドルで 30 日 1.48% 増、オフチェーンの裏付けを含めた表示額が 365 億 9,000 万ドルで 4.56% 増。資産数は 2,609、保有者は 19 万 7,518 で 30 日 0.78% 増えた。プラットフォーム別では STOKR が 16 億ドル、Maple が 9 億 5,800 万ドル、Centrifuge が 6 億 3,530 万ドル、Hastra が 6 億 10 万ドル、Realiz が 5 億ドル。

トークン化株式は 9 月 25 日時点で残高 32 億ドル、30 日 17.47% 増。保有者は 392 万人で 72.17% 増、月間の移転高は 130 億 5,000 万ドルで 73.99% 減っている。前週の残高 29 億 1,000 万ドルから 1 週間で 10% 増えた計算で、保有者も 366 万人から 7.1% 増えた。残高と人数が伸びて回転だけが落ちる形は、前号から向きを変えていない。

3 つのカテゴリーを並べると、米国債の器は残高が止まって人数が増え、クレジットは残高がゆっくり増えて人数がほとんど増えず、株式は残高も人数も伸びて回転が落ちている。どれも「トークン化」という一語で括られているが、増減の理由は共通していない。

Cross-Lane Signals

1. 先週と今週で、動いた年限が入れ替わった。 前号の週は 2 年債が 13bp 上がって 30 年債が 1bp 下げ、2 年債と 30 年債の差が 72bp から 58bp へ縮んだ。今週は 2 年債が 5bp、30 年債が 15bp 上がり、その差が 68bp へ戻っている。2 週続けて見ると、市場は先に「政策金利がもう 1 回上がる」を織り込み、それが済んでから「長く貸すこと自体の値段」を付け直した。FOMC の参加者見通しが 2026 年末も 2027 年末も 4.1% を示している以上、政策金利の側で織り込む余地は少ない。残りが長い年限へ出てくるのは順番として自然だ。次に同じ順番が続くなら、動く場所は 20 年から 30 年になる。

2. 公的な受け皿を倍にしてあっても、長い年限は出た。 財務省は 9 月 9 日から 11 月 4 日まで、10 年超のゾーンの買い戻しを 1 回あたり最低 40 億ドルへ倍増させている。中央銀行 3 行は量を増やしていない。買い手として制度の側にいるのが財務省の買い戻しだけという状態で、3 営業日に 15bp が出た。いまの長期金利は、中央銀行の在庫操作で決まる局面からすでに離れている。11 月 4 日の四半期定例入札で財務省が買い戻し規模をどう説明するかが、この読みを確かめる最初の機会になる。

3. 金利が上がった週に、金と原油がそろって下げた。 金は 2.16% 安、WTI は 3.17% 安、VIX は 14.87 でほぼ動かず、S&P 500 は 1.21% 高。インフレ懸念で長期金利が上がる局面なら、金は上がり、株式の変動を保険する値段も上がる。今週はどちらも起きていない。原油の下げにはホルムズ海峡の段階的な再開をめぐる協議の報道が効いており、供給側の不安がひとつ緩んだところで、それでも長い年限だけが売られた。財政と発行量の話として消化されたと考えるのが、いちばん矛盾が少ない。

4. 円は金利差の説明から外れ続けている。 日米の 10 年金利差は 9 月 18 日時点で 2.03 ポイント。そこから米国側だけが 16bp 上がり、日本市場は 3 日間休場だった。教科書どおりなら円は売られる。実際にはドル円の週間変化は 0.21% で、ドル指数の 0.82% を下回った。主要通貨の中では円が買われている。前号では金利差が 2.6bp 縮んだ週に 2.15% の円安が進んでおり、2 週続けて符号が合っていない。日銀の新しい誘導目標が 24 日から実際に適用された事実のほうが、差の計算より効いた可能性が高い。日本側の 24 日以降の利回りは、財務省の国債金利情報で確かめられる。

5. トークン化の 3 カテゴリーは、もう同じ指標で測れない。 米国債の器は保有者 1 人あたり残高が 1 週間で 5.3% 縮み、クレジットは保有者がほぼ増えないまま残高だけ 30 日 1.48% 増え、株式は保有者が 30 日 72.17% 増えて回転が 73.99% 減った。残高だけを見れば株式が伸びており、利用の密度を見れば米国債の器が薄まっており、参加者の広がりを見ればクレジットが止まっている。次の号で見るのは、この 3 つの「1 人あたり」の数字がそろって同じ向きを指す週が来るかどうかだ。

Risk Digest

1. Technical (技術・市場構造)。 今週、イーサリアムの研究フォーラムには、クライアントソフトウェアそのものを信頼の起点として点検する投稿が出ている (9 月 25 日「Ethereum's TCB, Part 1: The client」)。同じ週には、ハッシュ関数の後継候補を比較する投稿 (9 月 23 日) と、取引待機領域への攻撃を減らす設計の提案 (9 月 24 日) も並んだ。チェーンの安全性を論じるとき、合意形成の仕組みに目が向きやすいが、実際に動いているのは特定の実装であり、そこに含まれる前提が信頼の範囲を決める。トークン化された国債や株式を担保として載せる側にとって、載せる先のクライアント構成は担保の質と切り離せない。

2. Regulatory (規制・立法)。 期日のあるものと、ないものが同居している。期日があるのは GENIUS 法の規則案で、意見募集は 10 月 19 日締切、免許なしの発行が禁じられるのは 2027 年 1 月 18 日から。SEC が 8 月 18 日に提案した暗号資産の募集規制 (Regulation Crypto Assets) の意見募集も続いている。期日がないのは CLARITY 法案のほうで、9 月 15 日の 49 対 50 以降、今週も動きはない。立法が止まっている期間は規則制定の比重が上がるので、条文より規則案の文言を読むほうが、来年の実務に効く。

3. Market (市場)。 AI 関連の起債が高格付け社債の市場を二つに割っている。9 月 22 日の報道によれば、買い手は AI 関連の発行に対して発行時の上乗せ利回りを厚く求め、保有の集中度を見直しており、従来型の発行体には旺盛な応札が入る。大手クラウド事業者の総発行額は来年 4,200 億ドルに達するとの見方も出ている。長い年限の国債と長い年限の社債は、同じ投資家の同じ枠を取り合う。今週 10 年から 20 年にかけて山ができたのは、この取り合いの形と整合する。逆に、AI 向けの投資計画が縮めば、長い年限の上乗せ利回りは下がる方向に効く。

4. Geopolitical (地政学)。 ホルムズ海峡について、イランは米国が軍事的圧力を緩め港湾の封鎖を解くなら 7 日以内に航行を再開できると示したと報じられている。24 日には段階的な再開に向けた協議の報道が出て、原油は上値を削った。輸出の実態としては、イランの原油積み出しが 7 月の日量 89 万 3,000 バレルから 9 月はゼロまで落ちたとの集計がある。WTI は週間 3.17% 安の 92.44 ドル。再開すれば原油は下がり、長期金利のインフレ要因はひとつ減る。決裂すれば逆が起きる。今週の株高と長期金利上昇の同居は、この協議が前進する前提の上に乗っている部分がある。

Next Week Preview

1. 9 月 30 日 8 時 30 分 (米東部時間): 8 月の個人所得・個人支出。 米経済分析局 (BEA) の公表予定表によれば、同じ時刻に 2026 年第 2 四半期の国内総生産 (GDP) 第 3 次推計と企業収益も出る。物価の指標としては個人消費支出 (PCE) 物価が入る。今週の長期金利上昇が物価の話として消化されていないなら、この数字が上振れしても長い年限の反応は鈍いはずで、下振れした場合にどこまで戻すかで、上乗せ利回りの厚みが測れる。

2. 10 月 2 日 8 時 30 分 (米東部時間): 9 月の雇用統計。 米労働統計局 (BLS) の公表予定表に載っている日付である。FOMC の声明は「雇用の増加は労働力の伸びに見合っており、失業率はほとんど変わっていない」と書いた。その記述を裏切る数字が出たときだけ、2 年債が動く。今週 5bp しか動かなかった年限が、どこで反応するかを見る回になる。

3. 週を通して: 財務省の買い戻しの実施結果。 10 年超のゾーンで 1 回あたり最低 40 億ドルの買い戻しが 11 月 4 日まで続く。実施のたびに応札額と買入額が公表されるので、長い年限の売り圧力に対して受け皿がどれだけ埋まっているかは日次で追える。確認先は TreasuryDirect の買い戻し結果ページ。

4. 週を通して: IBIT の受益証券口数。 9 月 24 日時点で 14 億 728 万口。この数字が増えていれば現物の買いが入っており、減っていれば価格の上昇は現物以外が作ったことになる。BlackRock の商品ページで毎営業日更新される。今週の 3.33% 高が何によるものだったかは、この口数で裏が取れる。

5. 10 月 19 日に向けて: GENIUS 法の規則案への意見。 官報に掲載された締切で、提出された意見は規制情報のポータルで順次公開される。今週の論文が挙げた 5 条件のうち、危機時の対応と国境をまたぐ協調について、発行体と銀行のどちらがどう書いてくるかが、2027 年 1 月 18 日以降の免許制度の中身を左右する。

Watch リスト

  • トークン化株式: 残高 32 億ドル (30 日 17.47% 増)、保有者 392 万人 (72.17% 増)、月間移転高 130 億 5,000 万ドル (73.99% 減)。回転だけが落ちる形が来月も続くか。rwa.xyz のトークン化株式ページで 3 つを並べて見る
  • CLARITY 法案: 再議の動議が実際に本会議へ戻されるか。congress.gov の H.R.3633 の議事録ページ
  • Cardano の x402: facilitator の本番ネットワーク展開と Python パッケージの公開。Cardano Foundation の発表が確認先
  • 日本の国債利回り: 9 月 24 日以降の 10 年・30 年。財務省の国債金利情報の日次値
  • BCRED: 10 月 17 日の登録届出書の発効予定日と、12 月上旬の第 4 四半期買い戻し通知
  • 11 月 4 日: 米財務省の四半期定例入札。買い戻し規模の次の情報がここで出る
  • トークン化米国債の 1 人あたり残高: 今週 17 万 8,700 ドル。保有者の増加が続くなら、この数字はさらに小さくなる

投資助言ではありません。情報提供・リサーチ目的のみ

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