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Weekly Brief

LVM Weekly Brief #7|Fedと日銀が同じ週に利上げ、それでも円は3円安

9月16日にFedが3年ぶりの利上げで3.75〜4.00%へ、18日に日銀が7対2で1.25%へ動いた。どちらの議長も次の道筋を約束せず、市場は利上げそのものより「これで終わりに近い」という読みを買った。米2年債と10年債は2026年の最高値をつけ、円は1週間で3円下げ、ビットコインは8万1,238ドルへ5.23%上げた。上院ではCLARITY法案が49対50で止まっている。

LiveMakers 編集デスク

LVM Weekly Brief #7|Fedと日銀が同じ週に利上げ、それでも円は3円安

Executive Summary

9 月 16 日、米連邦公開市場委員会 (FOMC) は政策金利の誘導目標を 0.25 ポイント引き上げ、3.75〜4.00% にした。 2023 年以来の利上げで、採決は 12 対 0。声明は「インフレは高止まりしている。本日の政策行動は、委員会の 2% 目標へのより早い回帰を支える」と書いた。同時に出た参加者の政策金利見通し (SEP) は、2026 年末の中央値を 6 月の 3.8% から 4.1% へ、2027 年末を 3.6% から 4.1% へ引き上げている。年内あと 1 回の利上げを織り込み、来年は下げないという絵だ。

2 日後の 9 月 18 日、日銀が 7 対 2 の賛成多数で無担保コールレート誘導目標を 1.25% 程度へ引き上げた。 1995 年以来の水準で、適用は 9 月 24 日から。反対したのは浅田統一郎委員と佐藤綾乃委員の 2 人で、浅田委員は生鮮食品を除く消費者物価の上昇率が 2% を下回っていることを理由に現状維持を主張した。その反対意見を裏づけるように、同じ 18 日の朝に出た 8 月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除くコアが前年比 1.7% と 4 か月ぶりに鈍化している。

同じ週に主要 2 中銀が利上げして、どちらの議長も次を約束しなかった。 ウォーシュ議長は記者会見で「私の仕事はフォワードガイダンスを与えないことだ」と述べ、SEP の見通しについては「あれは私の予測ではない。18 人の同僚の予測だ」と距離を置いた。植田総裁も会見で、追加利上げの具体的なペースは想定していないと語っている。決定は二つとも予想どおりに出て、その先だけが空白のまま残された。

市場はその空白を強気に読んだ。 米 2 年債利回りは 9 月 11 日の 4.63% から 18 日の 4.76% へ 13bp 上がり、10 年債は 4.96% から 5.01% へ 5bp 上がって、どちらも 2026 年の最高値をつけた。一方で 30 年債は 5.35% から 5.34% へ 1bp 下げている。政策金利に近い側だけが動いた。ドル指数は 99.095 から 100.215 へ 1.13% 上がり、ドル円は 153 円 55 銭から 156 円 86 銭へ 3 円 30 銭の円安になった。日経平均先物は 0.62% 高、S&P 500 は 0.08% 安でほぼ動かず、VIX は 15.84 から 14.81 へ下げた。

暗号資産とトークン化資産は、正反対の週を送った。 ビットコインは週末レコードで 8 万 1,238 ドル、前週末比 5.23% 高。イーサリアムは 2,630.63 ドルで 4.31% 高、ADA は 9.71% 高、NIGHT は 14.63% 高と、値上がり幅はむしろ小型のほうが大きい。同じ週、トークン化米国債の残高は 149 億 1,000 万ドルへ 30 日で 7.71% 減り、前週に首位へ出ていた BlackRock の BUIDL は Circle の USYC に抜き返された。9 月 16 日には Circle のブロックチェーン Arc がパブリックメインネットへ移り、BlackRock や DTCC を含む 11 社が検証者として並んでいる。配管は動き、中の残高は減っている。

上院では 9 月 15 日、暗号資産市場構造法案 (CLARITY 法、H.R.3633) の審議入り動議に対する討論終結 (クローチャー) 採決が 49 対 50 で否決された。可決には 60 票が必要で、共和党からはコリンズ、ホーリー、モラン、ティリスの 4 議員が反対に回っている。

Macro Lane

Fed は 3 年ぶりに上げ、議長は道筋を断った。 9 月 16 日の FOMC 声明は誘導目標を 3.75〜4.00% へ引き上げ、採決は 12 対 0 で反対なし。声明は「経済活動は堅調なペースで拡大している」「地政学的な展開もあって不確実性は高いままだが、国内の支出は底堅い。生産性の伸びは強く、設備投資も旺盛だ」「雇用の増加は労働力の伸びに見合っており、失業率はほとんど変わっていない」と書いた。準備預金については「銀行システムに潤沢な準備を維持する政策を継続する」とあり、保有証券の扱いに新しい記述はない。

参加者の見通しの動き方が、声明より雄弁だった。政策金利の中央値は 2026 年末 4.1% (6 月は 3.8%)、2027 年末 4.1% (同 3.6%)、2028 年末 3.9% (同 3.4%)、長期 3.2% (同 3.1%)。PCE 物価は 2026 年 3.7%、コア PCE は 3.4%。実質 GDP 成長率は 2.3%、失業率は 4.1% で、6 月の 4.3% から下方修正された。景気を強く見て、インフレを高く見て、金利を高いまま置く。三つがそろって動いている。

ウォーシュ議長の会見は、その見通しを議長自身が引き受けないところが特徴だった。「率直に言って、インフレは高すぎるし、高すぎる状態が長すぎた」と述べ、最近の CPI と PPI から 8 月の総合 PCE 物価は前年比 3.6% 程度、コア PCE は 3.2% 程度、コア CPI は 2.4% 程度になりそうだと具体的な数字を置いた。そのうえで「あまりに多くの項目が、6 か月ベースでも 12 か月ベースでも 3% を超える上昇を記録している」と続けている。

一方で、見通しの解釈については徹底して引いた。SEP の点と発言の整合を問われて「あれは私の予測ではない。18 人の同僚の予測であり、私は彼らの見解を忠実にお伝えしようとしている。私の仕事はフォワードガイダンスを与えないことだ」と答えた。8 月のジャクソンホールで示したのは「決定ではなく規律への約束」であり、今回の行動はその本気度を示し始めたものだ、という説明になっている。市場が買ったのは、議長が責任を持たないと明言した点の配置だった。

利上げ当日の朝に、8 月の小売売上高が 1.2% 戻した。 米商務省センサス局が 9 月 16 日 8 時 30 分に公表した 8 月の小売・飲食サービス売上高 (速報) は 7,739 億ドルで、前月比 1.2%、前年同月比 6.0%。7 月は速報の前月比 0.6% 減から 0.5% 減へ改定された。自動車を除くと 1.4%、自動車とガソリンを除くと 1.2% 上がっている。1 か月で減少から加速へ振れた形だ。ウォーシュ議長はこの数字について「私は指標の一点に依存する人間ではない」「先週の CPI にせよ今朝の小売売上高にせよ、特定のデータを固唾を飲んで待っていたわけではない」「データの一点はノイズを含む。一点依存は危険な没頭であって、私の関心事ではない」と述べた。

米国債は短い側が上がり、長い側は動かなかった。 財務省の日次パー利回りで 9 月 11 日と 18 日を比べると、2 年債 4.63% → 4.76% (+13bp)、3 年債 4.69% → 4.83% (+14bp)、5 年債 4.78% → 4.86% (+8bp)、7 年債 4.87% → 4.93% (+6bp)、10 年債 4.96% → 5.01% (+5bp)、20 年債 5.38% → 5.38% (変わらず)、30 年債 5.35% → 5.34% (−1bp)。2 年債の 4.76% と 10 年債の 5.01% はどちらも 2026 年の最高値で、10 年債が 5.00% 以上で引けた日は 2026 年に 3 日しかなく、その 3 日 (15 日、16 日、18 日) はすべて今週に入っている。2 年債と 30 年債の差は 72bp から 58bp へ 14bp 縮んだ。前週は 30 年債が 2007 年以来の水準へ出て話題になったが、今週その 30 年債は動かず、動いたのは政策金利に連動する側だけだった。

会合翌日の 17 日には、10 年債が 5.01% から 4.94% へ 7bp、30 年債が 5.35% から 5.29% へ 6bp 下げている。18 日にはほぼ戻した。1 日で戻る程度の下げなら、会見の受け止めが一巡しただけと読むのが自然だ。利上げの織り込み自体は解けていない。

日銀は 7 対 2 で 1.25%、反対票は「2% に届いていない」と言った。 9 月 18 日の金融政策決定会合は、無担保コールレートを 1.25% 程度で推移するよう促す方針を 7 対 2 で決めた。補完当座預金制度の適用金利も 1.25%、基準貸付利率は 1.5% で、いずれも 9 月 24 日から適用される。賛成は植田総裁、氷見野副総裁、内田副総裁、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対した浅田委員は「消費者物価 (生鮮食品を除く) の上昇率が足もとで 2% を下回っており、景気情勢が強いとは必ずしも言えない」として現状維持を主張し、佐藤委員は足もとの経済・物価の動きが従来と比べて大きく加速したとは見られないとして反対した。

声明は物価の先行きについて「基調的な物価上昇率が、企業の賃金・価格設定行動の変化や中長期の予想物価上昇率の高まりを背景に、2% の物価安定の目標を上回る水準へ上振れするリスクがある」と書き、今後の運営として「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と明記した。中東情勢については、経済活動を押し下げる方向のリスクとして扱っている。企業物価の高止まりの要因には AI 関連需要の拡大に加えて原油高と円安が挙げられており、その円安は会合の後でさらに進んだ。

同じ 18 日の朝、総務省の 8 月の全国消費者物価指数は総合が前年比 1.9%、生鮮食品を除くコアが 1.7%、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアが 1.9% だった。コアは 4 か月ぶりの鈍化で、市場予想の 1.8% を下回っている。政府の補助金が押し下げに効いた。利上げの数時間前に出た数字が、反対票の論拠とほぼ同じことを言っていたことになる。

円は金利差と反対に動いた。 財務省の国債金利情報で 9 月 11 日と 17 日を比べると、10 年債は 2.987% から 2.993% へ 0.6bp、30 年債は 4.024% から 4.047% へ 2.3bp、2 年債は 1.844% から 1.868% へ 2.4bp 上がった。週の高値は会合の 3 日前の 15 日で、10 年 3.028%、20 年 3.865%、30 年 4.106%。財務省の全期間データで確かめると、10 年債が 3.00% 以上をつけたのは 1996 年 9 月 6 日 (3.06%) が最後で、その翌日から 2026 年 8 月末までの最高は 1996 年 9 月 10 日の 2.998% だった。15 日の 3.028% は、ほぼ 30 年ぶりの水準になる。決定が出た 16 日以降、利回りは 3 営業日続けて戻している。

金利差は開いていない。日付をそろえて計算すると、日米の 10 年金利差は 9 月 11 日の 1.973 ポイントから 17 日の 1.947 ポイントへ 2.6bp 縮んだ。にもかかわらずドル円は 153 円 55 銭から 156 円 86 銭へ 2.15% の円安になった。ドル指数も 1.13% 上がっているので、ドル全体の強さがかなりの部分を説明する。残りは、利上げが出た後に「次がいつ来るか分からない」という情報だけが残ったことの値段だ。前の 2 週間、金利差が開いても円が買われた局面と、符号が反転している。

財政・流動性の定点。 FRB の総資産は 9 月 16 日時点で 6 兆 7,465 億ドル、前週比 59 億ドル増。うち保有証券は 6 兆 4,703 億ドルで 21 億ドル増えた。ユーロシステムは 9 月 11 日時点の週次財務諸表で、マネタリーベースが 3 兆 9,453 億ユーロへ 225 億ユーロ減り、政策目的で保有する証券は 5 つのプログラム合計で約 3 兆 3,591 億ユーロ。償還は出ているが新規購入はない。日銀の営業毎旬報告は 9 月 10 日時点の 644 兆 2,700 億円が直近で、国債保有は 519 兆 6,300 億円。8 月末の 644.7 兆円からわずかに減った。3 中銀とも、量の面では今週も動いていない。動いたのは価格のほうだけだ。

CLARITY 法案は 49 対 50 で止まった。 9 月 15 日午後、上院は暗号資産市場構造法案 (H.R.3633) の審議入り動議に対する討論終結採決を行い、賛成 49、反対 50 で可決に必要な 60 票に届かなかった。クーンズ議員は投票していない。共和党 53 議席のうちコリンズ、ホーリー、モラン、ティリスの 4 議員が反対し、民主党からは賛成が出なかった。ティリス議員の反対は再議の動議を可能にするための投票で、スーン院内総務は否決の直後に再議の動議を提出している。手続き上、この法案がもう一度床に戻る道は閉じていない。

否決の理由として報じられているのは、公職者の暗号資産保有をめぐる倫理条項だった。証券取引委員会 (SEC) と商品先物取引委員会 (CFTC) の管轄を分ける市場設計そのものは、争点の中心になっていない。詰まった場所が制度の外側にある以上、次に同じ条文が戻っても同じ場所で止まりうる。下院は 9 月 17 日に離会し、11 月 3 日の中間選挙まで本会議に戻らない。上院で条文が動けば下院の再同意が要るため、年内成立の経路はレームダック会期に集約されたままだ。

Crypto Lane

ETF は利上げの手前で抜け、価格は利上げの後で上げた。 米国の現物ビットコイン ETF は 9 月 15 日に 4 億 5,033 万ドルの純流出を記録した。SoSoValue の集計で数か月ぶりの大きさで、内訳は Fidelity が約 2 億 1,475 万ドル、BlackRock が約 1 億 6,169 万ドル。同じ 15 日、現物イーサリアム ETF も 1 億 4,100 万ドル流出し、うち BlackRock の ETHA が約 9,797 万ドルを占めた。2 本合わせて 1 日で約 5 億 9,000 万ドルが出ている。CLARITY 法案の否決と FOMC の前日が重なった日だ。

価格が動いたのは、その後だった。ビットコインは週末レコードで 8 万 1,238 ドル、前週末比 5.23% 高。CoinDesk は 17 日、利上げそのものより SEP が示した 2026 年末・2027 年末とも 4.1% という中央値のほうが材料になったと伝えている。あと 1 回で打ち止めなら、長い引き締めサイクルではない、という読みだ。18 日には一時 8 万 1,000 ドルを超え、報道ベースで 2 億 3,800 万ドル規模のショートが清算された。悪材料が 3 つ (Fed の利上げ、日銀の利上げ、法案の否決) 出そろって、それでも何も壊れなかった週に、下方向へ賭けていた側が買い戻しに回ったことになる。

イーサリアムは 2,630.63 ドルで前週末比 4.31% 高。ビットコインとの差は 1 ポイントに満たず、今週に限れば両者はほぼ同じものとして取引された。ETF の日次集計は 15 日以降の確定値が出そろっておらず、週間の向きは次の集計を待つ。15 日の流出が単発だったのか、利上げ通過後に買い戻されたのかは、来週の数字で初めて分かる。

アルトは ADA と NIGHT が先に走った。 前週末比で ADA は 9.71% 高の 0.2256 ドル、NIGHT は 14.63% 高の 0.02393 ドル。ビットコインの 5.23% を上回っており、リスク選好が主要銘柄の外側まで届いた週だったと読める。ADA については、Dijkstra アップグレードに向けた開発日程が材料として挙げられている。Intersect の 9 月 11 日の更新によれば、ノード 11.2 の公開後に Dijkstra の機能を試せる公開テストネット「DijkstraNet」が立ち上がる予定で、Plutus V4 や Nested Transactions が対象に入る。ハードフォークの想定時期は 2026 年 12 月 5 日から 2027 年 1 月 4 日、確度を上げた窓では 2027 年 2 月 24 日から 3 月 26 日とされている。日付のある次の確認先は、ノード 11.2 のリリースとその後の DijkstraNet 公開になる。

📚 今週の論文

「A prelude to the theory of Real-World Asset (RWA) Tokenization」(Wenpin Tang・2026 年 9 月 14 日投稿)。 RWA のトークン化を「標準的なトークン化」「ステーブルコイン」「デジタル資産トレジャリー (DAT)」の 3 類型に分け、既存の金融理論に接続する 2 つのモデルを示した論文である。第 1 のモデルは情報の非対称性のもとでの証券設計としてトークン化を扱い、流通市場での取引が情報を回復させることで逆選択のコストが下がり、価格づけと最適な設計の両方が変わると論じる。第 2 のモデルは DAT を動学的なコーポレート・ファイナンスの問題として扱い、市場評価・資金調達・暗号資産の積み増しが互いにどう影響するかを分析した。事例として Strategy 社を置いている。含意は実務に近い。トークン化された資産の価格は、裏付け資産の利回りだけでなく、二次流通がどれだけ情報を生むかに依存する。今週 USYC と BUIDL の順位が 1 週間で入れ替わったような動きは、残高の多寡より、流通の厚みを示す指標として読み直せる。

「Public Opinion as an Option: Leveraging Prediction Markets to Hedge Exposure to Spot Crypto Volatility」(Prashanth Bhaskara、Aadit Jerfy・2026 年 9 月 13 日投稿)。 Kalshi の暗号資産イベント契約をオプションに似た商品と見なし、現物のビットコインを持ったまま値動きのリスクを抑える枠組みを示した論文である。強気・弱気・横ばいの 3 つの局面に対応する契約を取り上げ、各局面のリスクプロファイルを評価したうえで、Kalshi とビットコインを動的に組み合わせた戦略がどの局面でも単純なポートフォリオを上回ったと報告している。取引手数料が収益を削る点にも触れている。含意は規制側に向く。予測市場が現物のヘッジ手段として機能するなら、それはデリバティブとして監督される対象になる。どの当局が監督するかという係争の根拠が、学術側からも積み上がりつつある。

RWA Lane

トークン化米国債は 149 億ドル、首位が 1 週間で入れ替わった。 rwa.xyz の集計で、トークン化された米国債の残高は 9 月 19 日時点で 149 億 1,000 万ドル。30 日で 7.71% 減っている。前週の集計では 157 億 4,000 万ドルで 30 日 3.10% 減だったから、1 週間でさらに 5% 強縮んだ計算になる。保有者数は 7 万 8,969 で、7 日で 6.28% 増えた。残高は減り、持ち主は増えている。7 日平均利回りは 3.31% で、前週比 3.94% 低い。

商品別では Circle の USYC が 25 億 5,000 万ドルで首位に戻り、BlackRock の BUIDL は 23 億 8,000 万ドルで 2 位。前週は BUIDL が 27 億 2,600 万ドルで USYC を抜いていたから、順位は 1 週間で元へ戻った。以下、Ondo の USDY が 22 億 4,000 万ドル、Franklin Templeton の iBENJI が 17 億ドル、WisdomTree の WTGXX が 12 億 3,000 万ドル。米 2 年債が 4.76% まで上がった週に、同じ資産をトークンで持つ側の残高が減っている。トークン化米国債は短期債の器なので、政策金利が上がる局面では器の中身の利回りも上がるはずだ。それでも残高が減るのは、器の外に、より速く動く置き場があるということになる。

Circle の Arc がメインネットへ移り、検証者に BlackRock と DTCC が並んだ。 9 月 16 日、Circle のブロックチェーン Arc がパブリックメインネットを開いた。創設検証者は Circle に加えて BlackRock、DTCC、Galaxy、Global Payments、ICE、Mastercard、MoneyGram、SBI グループ、Standard Chartered、住友商事、Visa の 11 社で、段階的に参加する。ガス代は USDC 建てで払い、EVM 互換なので既存の Solidity 契約がそのまま動く。BlackRock の BUIDL と Circle の USYC は、取引・貸出・担保として使える状態で載っている。Circle と DTCC は、DTC が保管する資産のトークン化を 2027 年後半に Arc 上で可能にする計画を示した。

同じ週、Circle は ARC トークンの初期供給 100 億枚を米国内で発行している。会社はこれを「技術上の節目であって、公開して流通させるという約束ではない」と説明し、2027 年に現在の権威証明 (PoA) から持分証明 (PoS) への移行を検討すると述べた。検証者が 11 社の許可制で、ガスがステーブルコイン建てで、トークンは発行済みだが配らない。既存の清算機関の構造を、そのままブロックチェーンの上に写した形になっている。実務の判断としては、Arc を見る意味は、DTCC と BlackRock が 2027 年後半に何を載せるかという一点に集まる。

private markets は今週、新しい開示がない。 9 月 3 日に Blackstone の私募クレジットファンド BCRED が第 3 四半期の解約請求 (発行済み持分の約 10%、約 43 億ドル) に対して上限 5% までしか応じないと通知した件について、今週は新しい数字が出ていない。EDGAR で確認できる今週の提出物は 9 月 17 日の Form N-2 の発効前修正 (第 5 号) 1 件で、5 月 1 日に提出した登録届出書の発効日を 10 月 17 日まで延ばす、という手続き上の内容にとどまる。定期的に出る種類の書類であり、これ自体を資金繰りの兆候として読むことはできない。

数字が動かない週に見るべきは、次に数字が出る日付のほうだ。BCRED の登録届出書の発効予定日は 10 月 17 日、第 4 四半期の買い戻し請求の通知は 12 月上旬になる。米 2 年債が 2026 年の最高値をつけた今週の金利は、変動金利で貸している私募クレジットの利息収入をそのまま押し上げる。受け取る側の利回りが上がり、出口の比率は 5% のまま、という組み合わせが第 4 四半期にどう効くかが次の論点になる。

RWA の TVL は 57.9 億ドル。 DefiLlama の RWA カテゴリーは 180 プロトコルで合計 57 億 9,000 万ドル。首位は Ondo Global Markets の 9 億 5,200 万ドルで 7 日 1.23% 増、Invesco USTB が 5 億 4,400 万ドルで 7 日 8.99% 減、Ethena USDtb が 4 億 8,300 万ドル。週間の振れ幅が大きいのは下位で、Anemoy Capital が 7 日で 51.70% 減の 3 億 5,000 万ドル、逆に Plume Vaults が 30.83% 増の 2 億 700 万ドル、Huma Finance V2 が 18.45% 増の 3 億 5,200 万ドル。上位は動かず、中位以下で資金が場所を変えている。トークン化米国債の残高減少と同じ向きの動きで、RWA という括りの中でも、利回りの出どころが短期債から別の担保へ移りつつある。

Cross-Lane Signals

1. 利上げが 2 回あって、増えたのは確定した金利で、減ったのは約束された金利だ。 Fed は 3.75〜4.00% へ、日銀は 1.25% へ、どちらも実際に上げた。同時に、ウォーシュ議長は「私の仕事はフォワードガイダンスを与えないことだ」と述べ、SEP を「18 人の同僚の予測」と切り離した。植田総裁も追加利上げのペースを想定していないと述べている。結果として、米 2 年債は 13bp 上がって 2026 年の最高値に達し、30 年債は 1bp 下げた。曲線の短い側は決まった事実を織り込み、長い側は約束が消えたぶんだけ動かなかった。2 年債と 30 年債の差が 72bp から 58bp へ縮んだのは、その差の縮小そのものだ。

2. 円安は金利差では説明できず、日銀の声明がその円安を物価要因に数えている。 日米の 10 年金利差は、日付をそろえられる 9 月 11 日の 1.973 ポイントから、日本側の最新公表日である 17 日の 1.947 ポイントへ 2.6bp 縮んだ。ドル円は週末どうしの比較で 153 円 55 銭 (11 日時点) から 156 円 86 銭 (18 日時点) へ 2.15% の円安。ドル指数が 1.13% 上がっているので半分強はドルの側の話だが、残りは日銀の会合が「起きる前提」で買われていた円が、決定後に手じまわれた動きと見るのが素直だ。ここで効いてくるのが声明の文言で、日銀自身が企業物価の高止まりの要因として原油高と並べて円安を挙げている。利上げの後に進んだ円安が、次の利上げの理由になりうる構図が残った。9 月 24 日の適用開始と、その前の 3 連休 (21 日の敬老の日、22 日の休日、23 日の秋分の日) で日本市場が動かない期間が挟まる。

3. ETF から出た資金と、価格を作った資金は別物だった。 9 月 15 日にビットコイン ETF から 4 億 5,033 万ドル、イーサリアム ETF から 1 億 4,100 万ドルが出た。その 3 日後、ビットコインは 8 万 1,000 ドルを超え、2 億 3,800 万ドル規模のショートが清算された。前者は現物の受け皿から機関投資家が引いた動きで、後者はデリバティブで下に賭けていた側の買い戻しだ。週間で 5.23% の上昇があっても、それが現物の買いによるものかどうかは、来週の ETF 集計を見るまで確定しない。前号で「ETF は流れておらず、上げはショート清算が作った」と書いたイーサリアムの構図が、今週はビットコイン側にも当てはまっている。

4. トークン化は配管が増え、残高と回転はそろって落ちている。 今週動いたのは記録と移転の側だった。Arc のメインネット、11 社の許可制検証者、DTCC が 2027 年後半に載せる計画。一方、rwa.xyz のトークン化米国債は 30 日で 7.71% 減って 149 億ドル、トークン化株式は残高こそ 30 日で 11.28% 増の 29 億 1,000 万ドルだが、月間の移転高は 130 億 1,000 万ドルと前月比 77.41% 減っている。保有者数は 366 万人で 30 日 114.51% 増と伸び続けている。持ち主は増え、残高は減り、回転はもっと減った。トークン化の進捗を発行残高で測る局面は、この 3 つの符号がそろわない時点で終わっている。次に見るべきは、保有者 1 人あたりの移転高だ。

Risk Digest

  1. Technical (技術・市場構造)。 Arc の構造は、検証者 11 社の許可制、権威証明 (PoA)、ガスは USDC 建て、ARC トークンは 100 億枚を発行済みで未配布、という組み合わせになっている。Circle は 2027 年に持分証明への移行を検討すると述べたが、日付は示していない。停止や巻き戻しの判断が 11 社と Circle の手に集まる設計なので、BUIDL や USYC を担保として載せる側にとっては、チェーンの信用が発行体の信用と分離しない。9 月 6 日の Blockstream の Liquid で約 4,000 BTC が引き出された件と、8 月 30 日の Cronos で 10,961 ブロックが巻き戻された件は、いずれも「誰かが止められる」設計で起きている。Arc はその設計を、意図して選んでいる。

  2. Regulatory (規制・立法)。 CLARITY 法案は 9 月 15 日に 49 対 50 で審議入りを阻まれた。60 票の壁に対して共和党は 53 議席で、うち 4 議員が反対に回っている。スーン院内総務は再議の動議を提出しており、手続きは閉じていない。ただし下院は 9 月 17 日に離会して 11 月 3 日の中間選挙まで戻らないため、上院で条文が動いた場合の再同意はレームダック会期に持ち越される。争点が公職者の保有をめぐる倫理条項に移っている以上、条文を書き直しても同じ場所で詰まりうる。SEC が 8 月 18 日に提案した「Regulation Crypto Assets」の意見募集は続いており、立法が止まった分だけ規則制定の比重が上がる。

  3. Market (市場)。 米 2 年債 4.76%、10 年債 5.01% はどちらも 2026 年の最高値で、10 年債が 5.00% 以上で引けた 3 日はすべて今週にある。政策金利の誘導目標上限が 4.00% になったことで、2 年債との差は 76bp。SEP の 2026 年末中央値 4.1% はあと 1 回の利上げを含むから、2 年債はすでにその 1 回とその先の据え置きを織り込んでいる。ここで想定が外れる方向は 2 つある。インフレが下がって利下げが視野に入る場合と、上振れしてもう 1 回では足りなくなる場合だ。前者なら短い側から下がり、後者なら 2 年債が 5% を試す。VIX は 14.81 まで下げ、S&P 500 は週間でほぼ動いていない。株式は今週、金利の話に参加していない。

  4. Geopolitical (地政学)。 サウジアラビアの東西パイプラインは 9 月 10 日から 11 日にかけてイラク領内から発射されたドローンの攻撃を受け、予防措置として停止した。ホルムズ海峡が 3 月以来イランによって事実上閉じられているため、このパイプラインはアブカイクから紅海のヤンブーへ日量 500 万バレル規模を迂回させる主要経路になっていた。今週、サウジアラムコは損傷区間を迂回して能力の約半分を数日以内に戻すことを目指し、全面復旧には約 6 週間を見込むと報じられた。並行して、オマーンのソハール港沖で船から船への移送によりアジアの製油所向けの追加カーゴを供給している。市場は供給途絶を当初の想定より軽く見直し、WTI は 9 月 18 日に 1.6% 安の 1 バレル 100.30 ドル、ブレントは 0.9% 安の 103.87 ドルで引けて、週間ではほぼ横ばいだった。日銀が声明で中東情勢を経済の下押しリスクに数え、企業物価の上昇要因に原油高を挙げたのは、この状態の原油である。

Next Week Preview

1. 9 月 22〜24 日: 米国債の入札 3 本、合計 1,830 億ドル。 2 年債 690 億ドル (22 日)、2 年変動利付債 280 億ドル (23 日)、5 年債 700 億ドル (23 日)、7 年債 440 億ドル (24 日)。受渡はいずれも 9 月 30 日。今週 13bp 上がって 2026 年の最高値をつけた 2 年債に、利上げ後の初めての入札が当たる。見るのは落札利回りそのものより応札倍率と間接入札者の比率で、前回と比べて買い手の顔ぶれが変わったかどうかが分かる。日程は米財務省の入札スケジュールで確認できる。

2. 9 月 21〜23 日: 日本市場が 3 連休、24 日に日銀の新金利が適用開始。 21 日が敬老の日、22 日が祝日法第 3 条第 3 項による休日、23 日が秋分の日で、東京市場は 3 日止まる。9 月 18 日に決まった 1.25% の誘導目標と補完当座預金の適用金利は 24 日から効く。3 日空いたあとに新しい金利で始まる週になるので、ドル円と国債利回りの寄り付きが、今週の円安をそのまま引き継ぐかどうかを見る確認点になる。日次の水準は財務省の国債金利情報で追える。

3. 9 月 21 日: WTI 10 月限の納会と、東西パイプラインの復旧状況。 ニューヨーク商業取引所の WTI 10 月限は 9 月 21 日に取引を終える。原油の先物価格を語る基準がこの日を境に 11 月限へ移るため、前後の値動きを前週と単純に比較しない。実体として見るのは、サウジアラムコが「数日以内」としたパイプラインの半分の能力が実際に戻ったかどうかで、確認先はサウジ通信社 (SPA) の発表と、ソハール沖の船間移送を追う報道になる。

4. 週後半: ビットコイン・イーサリアム ETF の確定値。 9 月 15 日の流出 (ビットコイン 4 億 5,033 万ドル、イーサリアム 1 億 4,100 万ドル) が単発だったのか、利上げ通過後に買い戻されたのかは、16 日以降の日次集計が出そろって初めて分かる。今週の価格上昇がショート清算によるものだとすれば、ETF の側は流出が続く。両方が同じ向きにそろった時に、初めて現物の買いが戻ったと言える。SoSoValue の現物 ETF ダッシュボードで日次の確定値を追う。

5. 9 月 30 日に向けて: 8 月の PCE 物価。 米経済分析局 (BEA) は 9 月 30 日に 8 月の個人所得・個人支出を公表する。ウォーシュ議長は会見で、直近の CPI と PPI から 8 月の総合 PCE は前年比 3.6% 程度、コア PCE は 3.2% 程度になりそうだと述べた。議長自身が具体的な数字を置いたのだから、実際の公表値がそこからどちらへ外れるかが、次の会合の材料になる。来週中の公表ではないが、準備として置いておく数字だ。

Watch リスト。 ①トークン化株式: 保有者 366 万人 (30 日 114.51% 増) と月間移転高 130 億 1,000 万ドル (前月比 77.41% 減) の乖離が次月も続くか。米国市場の時間外に取引が集中しているという集計が事実なら、24 時間市場の実需がどこにあるかの手がかりになる。rwa.xyz のトークン化株式ページで残高・保有者・移転高の 3 つを並べて見る ②CLARITY 法案: スーン院内総務の再議動議が実際に床へ戻されるかどうか。congress.gov の H.R.3633 の議事録ページで確認できる ③Arc: BUIDL と USYC 以外の資産が載るか、DTCC が 2027 年後半の計画に日付を入れるか ④Cardano: ノード 11.2 のリリースと DijkstraNet の公開。Intersect の週次更新が確認先 ⑤BCRED: 10 月 17 日の登録届出書の発効予定日と、12 月上旬の第 4 四半期買い戻し通知 ⑥日銀: 10 月上旬に公表される 9 月会合の「主な意見」で、反対した 2 委員以外がどこまで追加利上げに触れていたかが分かる ⑦FRB の総資産: 準備預金を「潤沢に維持する」という文言のもとで、6 兆 7,465 億ドルからどちらへ動くか。

投資助言ではありません。情報提供・リサーチ目的のみ

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